星河の覇皇
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第八十八部第四章 当直任務の様にその五十八
「そうしていいわ」
「有り難きお言葉。では」
「ええ、持って来てね」
「そうさせて頂きます」
従兵はこう応えてだった。
暫くして紫茶、その上に生クリームを乗せたそれを持って来た。中佐はその茶を前に出されると無言でだった。
一枚のコインを出して従兵に言った。
「少ないけれど」
「有り難うございます」
「労働には報酬があるものね」
「だからですね」
「貴族であるならば」
それならというのだ。
「物惜しみはしない」
「それでチップも」
「弾むものよ、彼等は言うわ」
連合軍の艦艇そこにいる連合の者達を見て言った。
「私達は民を搾取してね」
「吝嗇だとですね」
「いつもね、けれどね」
「それはですね」
「違うわ」
断じてというのだ。
「それは」
「中佐の様にですね」
「そして誰もがね」
貴族ならばというのだ。
「こうしてよ」
「チップを出し」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「搾取もね」
「していない」
「それぞれの領地は議会があり」
そしてというのだ。
「領主は政治には参加しないわ」
「それぞれの領地には」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「領主の経費はね」
「全て議会が定めますね」
「予算の中からね」
「だからこそ」
「搾取なぞ」
とてもというのだ。
「ないわ」
「左様ですね」
「それが貴族よ」
エウロパ貴族だというのだ。
「彼等はそれがわかっていないわ」
「それも全く」
「それが実態よ」
「彼等はそれをわかっていない」
「もっと言えばわかろうともしないわ」
連合側はというのだ。
「全くね、チップにしても」
「それもですか」
「奴隷への褒美」
「我々は奴隷ですね」
「そう言っているわね」
「心外です、エウロパに奴隷は存在しません」
兵士は怒った声で述べた。
「決して」
「そうね、それはね」
「平民です」
「平民は市民権を持っているわ」
「エウロパに生まれたなら」
それならというのだ。
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