魔術と科学
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
「科学と魔術はね」
「相反するものではなく」
「元は一緒で」
そうであってというのだ。
「それでね」
「影響し合うんですね」
「そうよ」
実はというのだ。
「そうしたものでね」
「それで、ですか」
「学んで実際に魔術に取り入れても」
「いいんですね」
「だから私も科学の本を読んでいるし」
そうしていてとだ、青い魔法使いのローブを着ている愛弟子に話した。魔女の三角の帽子もそれぞれの色だ。
「自分の魔術にもね」
「採り入れていますか」
「そうよ」
そうしているというのだ。
「実際にね、実験もね」
「科学と魔術を合わせた」
「これからしていくから」
「そうなんですね」
「あんたもするでしょ」
「そうですね」
アンナは一呼吸置いてからマリアに答えた。
「実際凄くいいと思いました」
「科学もね」
「勉強しますと」
そうすると、というのだ。
「魔術に入れるといいってものがです」
「多いわね」
「はい」
こう答えた。
「かなり」
「私もそう思ってね」
「科学も学ばれて」
「採り入れているのよ」
自分の魔術にというのだ。
「それに元は同じだからね」
「錬金術も魔術のうちで」
「錬金術と科学はね」
「昔は同じでしたね」
「だからね」
そうした歴史があったからだというのだ。
「もうね」
「学んで採り入れていいですね」
「そう、そしてね」
そのうえでというのだ。
「やっていくのよ」
「そうですね」
「そしてね」
マリアはさらに言った。
「よりよい魔術にね」
「していきますね」
「そうしましょう」
「それじゃあ。ただ」
ここでだ、アンナはマリアに尋ねた。
「師匠昔は科学に興味なかったですね」
「なかったわよ」
本人がきっぱりと肯定した。
「実際にね」
「そうでしたね、どうしてそれが」
「いや、実はね」
マリアはここで顔を赤くさせた、そのうえでアンナに話した。
「合コンで知り合った」
「まさか」
「そのまさかで」
顔を赤くさせたまま話した。
「交際している人が科学の人で」
「そうなんですか」
「大学の工学部の準教授さんで」
そうであってというのだ。
「今度結婚するの」
「おめでとうございます」
「その彼と一緒にいるうちにね」
科学者である彼と、というのだ。
「科学に興味を持って」
「それで、ですか」
「そう、学ぶ様になって」
「それでご自身の魔術にもなんですね」
「採り入れる様になったの」
「そうですか」
「いや、思わぬことからね」
「恋愛からですね」
「科学に興味を持つなんてね」
そうなることはというのだ。
「思いもしなかった、けれどね」
「幸せですね、師匠」
「いい人だし魔術もよくなったからね」
「いい出会いでしたね」
「ええ、貴女もそうした出会いがあることを願うわ」
「有り難うございます」
アンナはマリアに笑顔で返事を返した、そうしてだった。
自分も科学を学ぶ様になった、そのうえで結婚して人妻になったマリアに魔術をさらに教わっていった。二人の魔術は科学も加わった素晴らしいものになりアンナもまたいい出会いがあって幸せになった。ワルシャワの話である。
魔術と科学 完
2024・12・13
ページ上へ戻る