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太子の挨拶

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第一章

                太子の挨拶
 厩戸皇子は神仏への信仰が非常に深いだけでなく様々な不思議な力を思っておられることで知られている。
 皇子は常に周りにこう言われていた、若々しく端正なお顔立ちで背が高く姿勢もいい方である。
「神々は確かにおられ御仏もである」
「おられますね」
「この世に」
「その教えもな。だから穢れは清め」 
 神道の教えを言われた。
「そして御仏の教えを守る」
「そうすることですね」
「学び」
「そのうえで」
「そうである」
 こう言われるのだった。
「どちらの信仰も守るのだ」
「紙も仏もですね」
「両方ですね」
「どちらかに偏ってはいけない」
「わかりました」
「それでは」
 周りの者達は皇子のお言葉にまさにと頷いた、そうしてその通りに神も仏も信じていった。その中でだった。 
 皇子はある時はじめて会われた者にだ、不意にだった。
 ぺこりと頭を下げた、そうしてそのうえで言われた。
「どうもお世話になりました」
「私がですか」
「はい、まことに」
「あの、私は何でもない」 
 皇室の方であられ摂政であられる皇子と、とだ。その者は驚いて答えた。
「一介の民に過ぎませんが」
「いえ、前世で」
 皇子は驚くその者に笑顔で答えられた。
 
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