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夜の匂い

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第二章

「まさに。それでね」
「飲むと」
「本当にね」
 まさにというのだ。
「夜を感じずにいられないわ」
「ロマンチストね」
 私はそんな友人の言葉を聞いて微笑んで言った。
「そう言うと」
「意外かしら」
「ええ、あなたがそうだとはね」
 それはだ。
「会社でのお仕事観てると思えないわ」
「これでも学生時代文芸部だったのよ」
 友人は私に今度はジントニックを飲みつつ話した、私はカシスオレンジを飲みながらその話を聞いた。
「中学から大学までね」
「そうだったのね」
「それで小説も書いていたけれど」
 それでもというのだ。
「詩もね」
「書いていたの」
「ええ、特に散文詩をね」
「そうなのね」
「だからね」
 そうであるからだというのだ。
「今もこうしてよ」
「ロマンチストなのね」
「そうよ。夜の匂いを楽しみながらね」
 そのうえでというのだ。
「飲んでいるわ」
「そういうことね」
「それでね」
 私にさらに言ってきた。
「今夜は夜の匂いを二人でね」
「楽しむのね」
「そうしない?」
「いいわね」
 私は微笑んで頷いた。
「私も今はロマンチストだから」
「そうなの」
「私はずっとバスケ部だったけれど」
 中学から大学までだ。
「今はあんたの言葉を聞いてよ」
「ロマンチストになったから」
「一緒に飲みましょう、そしてね」 
 彼女にそのうえでと言った。
「夜の匂い、楽しみましょう」
「飲んでね」
「今夜はね」
 二人で話して飲んだ、この夜のお酒はかなり美味しかった。私は上機嫌で家に帰ることが出来て夕食もお風呂も楽しめた、そして夜の匂いを求めてそれからお仕事が終わると飲んだ。彼女が一緒の時も多くその時は尚更楽しめた。


夜の匂い   完


                   2025・1・29 
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