夜の匂い
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第一章
夜の匂い
会社でのお仕事が終わると私はよく飲みに行く、朝早く走ってシャワーを浴びて出勤してお家に帰るまでにだ。
飲むのが好きだ、行くのはバーが多くてこの時もだった。
「美味しくね」
「飲むわね、あんた」
「ええ、お仕事が終わってね」
バーで同期の友人と向かい合って座って飲みながら話した。
「それからね」
「飲むわね」
「ええ」
そうだというのだ。
「楽しみなのよ」
「あんたのね」
「カクテルをね」
今はピーチフィズを飲みつつ話した。
「こうして飲むと」
「一息つけるのね」
「そう、そして」
そのうえでだ。
「さらに飲むのよ」
「気持ちよく」
「こうしてね、お酒の香りもよ」
それぞれのカクテルのだ。
「味だけじゃなくてね」
「好きなのね」
「色もね」
ひいてはだ。
「好きだから」
「飲んでいくのね」
「お仕事が終わったら」
「大人ね」
友人はそんなことを言いながら飲む私に微笑んで言ってきた、彼女もカクテルブラッディメアリーを飲んでいる。
「そう言うと」
「お酒は大人の飲みものでね」
「そう思えるわ、何かね」
友人はそのブラッディメアリーを飲みつつ私に微笑んで言った。
「お酒の香りが大人、それも夜のね」
「香りがするのね」
「匂いっていうかね、それを感じるわ」
「そうよね、お酒はね」
私も言われて頷いた。
「そうした香りね」
「どういったお酒もね」
「大人の飲みものでね」
「夜に飲むもので」
「こうしてね、それでね」
「夜の匂いね」
「お酒の香りはね」
それはというのだ。
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