予言されていた
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第四章
「何度診断してもだから」
「それもこの病院の精神科医の人全員がですね」
「精神異常とね」
「極めて深刻な」
「そう出ているから」
だからだというのだ。
「もうね」
「長期入院が必要ですね」
「もう一生ね」
「退院出来ない」
「そこまで重症だから」
それ故にというのだ。
「病院としてはね」
「入院を言っていますね」
「しかしね」
それでもというのだ。
「出版社の方は」
「構わないって言っていますね」
「どうもね」
医師は話した。
「あの人が関わっている漫画の売れ行きがいいらしいんだ」
「そうなのですか」
「ああしたことを漫画でそのまま言って」
そうしてというのだ。
「注目されてね」
「売れていますか」
「単行本の発行部数が凄くて」
そう言っていいまでに売れてというのだ。
「ネットでもね」
「注目されていますか」
「売れて注目されたら」
そうなればというのだ。
「それでね」
「いいんですね」
「だからね」
「あの人はですか」
「出版社もだよ」
「入院させないんですね」
「幾ら異常でも」
それでもというのだ。
「売れたらね」
「それでいいんですね」
「だからね」
それ故にというのだ。
「あの人は」
「いつもすぐに退院して」
「そしてだよ」
「予言や人類滅亡を叫びますね」
「それがどれだけ異常でも」
そうした主張で行動であってもというのだ。
「売れるならね」
「いいんですね」
「資本主義だからね」
医師は達観した様に言った。
「どんな狂気でもね」
「売れたらですね」
「そして注目されたらね」
「いいんですね」
「診断結果はどうでもいいんだ」
それはというのだ。
「売れたらね」
「それでよくて」
「そしてね」
医師は話を続けた。
「犯罪をしないと」
「問題なしですね」
「その時点でね」
「今にもです」
ナースは暗い顔で述べた。
「何かしそうですね」
「発作的にね」
「実際発作ですね」
「うん、いきなり喚き散らすからね」
「予言とか人類滅亡とか」
「だからね」
それでとだ、医師も答えた。
「何時何をしてもおかしくないよ」
「ですが売れるのでそのままですね」
「会社の方はね」
彼を社員として採用しているその出版社はというのだ。
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