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下手な哲学書

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第三章

「何から何までね」
「わからないの」
「文章もわかりにくくて説明抜きでね」
 それでというのだ。
「知らない言葉出たり造語出て」
「わからないの」
「わからないのが哲学?」
 美利は首を傾げさせて言った。
「ひょっとして」
「いや、わからないと駄目でしょ」
 聡子はすぐに返した。
「読んでもわからないならね」
「意味ないわね」
「読んで何が何かわからない小説なんてね」
「ラノベでも純文学でもね」
「意味ないでしょ」
「そうよね」
「夏目漱石の作品わかりやすいわよ」
 文豪の代名詞であるこの作家の作品はというのだ。
「凄くね」
「こころとかね」
「物凄くね」
「けれどね」
 それでもというのだ。
「何を言いたいかわからない作品なんて」
「意味ないわね」
「文章が下手だと」
 小説ではというのだ。
「それだけでマイナスでしょ」
「それはね」
 美利も確かにと頷いた。
「そうだとね」
「そうでしょ、それで小説で造語出すなら」
「設定ね」
「設定のお話するなら」 
 それならというのだ。
「ちゃんとしないと」
「読者さん何だってなるわね」
「なるわよ」
 当然という返事だった。
「ネットでもね」
「そうなるわね」
「そしていきなり何それって言葉出しても」 
 聡子はその場合もと話した。
「やっぱりね」
「何それってなるわね」
「ええ、小説だとね」
「いや、読みはじめたばかりでも)
 美利はそれでもと話した。
「今読んでる本はね」
「わからないの」
「経済とかの本だとそっちの知識が必要よね」
「貿易額とか関係国とか製品とかね」
「そういうのと違ってね」
「もう文章も何もかもがなのね」
「わからないのよ」
 そうしたものだというのだ。
「知識とか教養とかじゃなくて」
「文章が下手で」
「それで訳がわからないのよ」 
「全くなの」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。
「正直読んでね」
「わからなかったの」
「ええ」
 そうだというのだ。
「理解不能よ」
「そんな風なの」
「聡子前に哲学書も色々って言ったわね」
「言ったわ」
 聡子は自分の言葉を偽らず答えた。 
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