八条学園騒動記
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第八百話 二首目その十一
「ナチスからはね」
「逃げないとね」
「最大限の努力をしてね」
「そうしないと殺されるわね」
「暴力教師も同じよ」
「ナチスも暴力振るってたし」
拷問も平然と行っていた、ナチスにとって人権なぞそれこそ全く意に介すに値しないものであったのだ。
「だからね」
「それでよね」
「もうね」
それこそというのだ。
「ナチスからは逃げる」
「暴力教師からも」
「通報するにしてもよ」
「まずは逃げることよね」
「暴力自体が駄目」
七美は断言した。
「そのことをね」
「自覚しないとね」
「そうよ」
まずはというのだ。
「被害者に問題があるか」
「その筈がないわね」
「あるのはね」
「加害者よね」
「何で加害者を庇うのよ」
そもそもという口調で話した。
「問題があるのは加害者ってことはね」
「わかってないとね」
「絶対にね」
「駄目よね」
「そう、暴力はね」
「加害者に問題があるわね」
「じゃあ殺人事件でね」
この時代の連合においても最も重い犯罪とされている、それだけ命の価値は重いということである。
「殺した方が悪いの?」
「それじゃあ世の中大変よね」
「確かに酷い奴がいて」
「殺すしかなくても」
「流石に殺すとね」
そうすると、というのだ。
「駄目だしね」
「情状酌量の余地があっても」
「それでもよ」
そうであってもというのだ。
「罪に問われるし」
「暴力はそれ自体が駄目よね」
「そうよ」
絶対にというのだ。
「それはね」
「その通りよね」
彰子もその通りだと頷いた。
「暴力は絶対に駄目」
「そこをわからないとね」
「駄目よね」
「本当にね」
こう話した、そしてだった。
二人は和歌も進めた、七美はもう詠めなかったが彰子はあと一首詠んでそれでよしとしたのだった。
二首目 完
2025・2・16
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