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デッドコピー

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第一章

                デッドコピー
 その銃を見てだ、陸上自衛隊に技術幹部として所属している中尾隆盛四角い顔で眼鏡をかけた長身でがっしりした体格に黒髪を短くさせた彼は言った。
「これは酷い」
「そうですね」
 部下の大関正一も顔を顰めさせて言った、細面で澄んだ大きな目で分厚い唇を持っている。背は一七〇位で痩せていてやはり黒髪は短い。
「色々な銃がありますが」
「これは酷いね」
「二尉と同じ意見かと」
「それを言うと僕も二曹とだよ」
「そうですか」
「こんな銃を使ったら」
 中尾はどうなるかと話した。
「何時暴発するかわからないよ」
「そうですよね」
「まともに弾が出るかもだよ」
「わからない位ですね」
「あれだよ」
 中尾はこうも言った。
「一九五〇年代の技術で無理矢理今の銃をコピーした」
「そんな代物ですね」
「元々はロシアの銃で」
 それでというのだ。
「北朝鮮がライセンス生産しているにしても」
「北朝鮮の技術力が出ていますね」
「よくね」 
 中尾は憮然として話した。
「あそこはずっと止まっているから」
「技術もドクトリンも」
「何もかもがそうだから」
「こんな銃ですね」
「いや、こんな酷いコピーはないよ」
「本当にこんなの使ったら大変ですよ」
 大関は心から思った。
「うちになくてよかったですね」
「六四式なんて評判悪かったけれどね」
「重くて整備しにくくて」
「それでもこれはないよ」
「はい、酷い銃ですよ」
「全くだよ」 
 二人でこうした話をした、兎に角だった。 
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