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第百七十話 近付く終幕その九

「そこまで馬鹿だと変わらないし」
「変わるにもそれなりのもの必要だし」
「もうね」
「助けたら駄目ね」
「そう思うよ、まともな人だったら」
 そうであるならというのだ。
「そんな馬鹿が子供だったら泣くよ」
「お友達だと付き合い止めるしね」
「親御さん泣くよ」
 そうなるというのだ。
「自分達の子供はこんなに馬鹿なのかって」
「そうなるわよね」
「それでこんな馬鹿を育てて世に出したのかって」
「泣くわね」
「絶対にね、人の命の価値もわかっていなくて」
 そうであってというのだ。
「悲しみや苦しみもわからない」
「わかろうともしないじゃね」
「究極の馬鹿だから」
「まともな親御さんだったら泣くわね」
「そんな馬鹿こそが問題で」
 そうであってというのだ。
「幽霊や妖怪はね」
「問題じゃないわね」
「幽霊なんて普通にいるよ」
 達川は素っ気なく言った。
「もうね」
「この学校じゃ特にね」
「あちこちに出るって場所あるから」
「そうなのよね、ここは」
「それで妖怪さん達も」
 彼等もというのだ。
「その辺りにね」
「色々出るって言われてるし」
「夜は宴会やってみたいで」
 妖怪達が集まってだ、八条学園ではその彼等を見たという話がそれこそ星の数程存在していることでも有名になっている。
「お昼は物陰にね」
「隠れてるのよね」
「朝は寝床でっていうけれど」
 この言葉も先程の有名な妖怪漫画原作のアニメの主題歌の歌詞の一節である、この曲はずっと歌われている。
「物陰で寝てるかしてるよ」
「妖怪さん達は」
「それで何も起こっていないから」
 だからだというのだ。
「別にね」
「怖くないわね」
「むしろコミカルで楽しいよ」
「妖怪さん達はね」
「そんな存在で」
「そんな馬鹿とは違うわね」
「優しさだけじゃ生きていけないっていうけれど」
 達川は今度はこの言葉を出した。
「優しさがないと駄目だよ」
「そういうことよね」
「今話している馬鹿にはね」
「優しさなんて全くないわね」
「優しさは思いやりで」
 そうであってというのだ。
「命の重さや人の悲しみや苦しみをわからないなら」
「わかろうともしないなら」
「思いやりなんてね」
「何処にもないわね」
「権力に反対するからいいんじゃないよ」
 殺人もテロもいいのではないというのだ。
「その行い自体がだよ」
「駄目よね」
「それでそんな馬鹿を雇ったら」
「その会社も知れたものよね」
「優しさの欠片もなくて」
 そうであってというのだ。 
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