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印税もコツコツ

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第一章

                印税もコツコツ
 ライトノベル作家の小林典史は軍事関連やグルメの文章も書いている、他には成人小説も書いている。
 兎角色々書いている、そうして印税を得て生活しているが。
「一気に沢山入るか」
「そうでもないわね」
「そうだよ」
 妻でパートで働いている千賀子きりっとした顔立ちで収まりの悪い黒のショートヘアで一五七位の背の均整の取れたスタイルの彼女に話した。
「そんな単行本が出て」
「一気に売れて一気にお金が入るなんてことはないわね」
「ないよ、あくまでね」
 家で仕事をしつつ話した。
「コツコツ書いて」
「コツコツ入るわね」
「そうしたものだよ」
 印税はというのだ。
「一作書いて大ヒットして」
「それで一気に入ることはないわね」
「そうだよ」
「春奈は最初そう思っていたのよ」
 二人の娘で母親そっくりの外見の小学五年の娘はというのだ。
「書いたらね」
「一気に入るって思っていたんだ」
「これがね」
「そんな大ヒット漫画家みたいなことは」
 それこそというのだ。
「ないよ」
「現実はそうよね」
「現実はね」 
 それはというのだ。
「シビアなものっていうか」
「一気にはないわね」
「ないよ、けれど今度ラノベの新刊の印税が入るから」
 だからだというのだ。
「それで贅沢しようか」
「何処かに行って食べるの?」
「そうしようか」
 妻に笑顔で話した、そうした話をしてだった。 
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