金木犀の許嫁
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第六十四話 両親が戻ってその四
「お坊さんでも神父さんでもね」
「結婚していいですね」
「何が悪いか」
結婚してというのだ。
「わからないよ、もっともね」
「もっとも?」
「お坊さんは結婚は駄目でも」
浄土真宗以外はというのだ。
「男の人はよかったから」
「そうでしたね」
「結構そこはいい加減だったね」
「日本の場合は」
「これがキリスト教だとね」
ここで言うキリスト教はカトリックである。
「そっちもね」
「駄目ですね」
「もう同性愛なんて」
それこそだ。
「重罪でね」
「死刑にもなりましたね」
「そうだったからね」
だからだというのだ。
「無理だったけれど」
「それはよくないですね」
「俺としてはね、そっちの趣味はなくても」
同性愛のというのだ。
「悪いかっていうと」
「悪くないですね」
「だからね」
それでというのだ。
「お坊さんは同性愛でもね」
「いいですね」
「けれど結婚してもね」
「いいですね」
「そうだよ、だから今の状況でいいよ」
聖職者でも妻帯してもというのだ。
「そうしてもね」
「それで私もですね」
「お坊さんの資格も持って」
そうしてというのだ。
「夫婦でね」
「お寺やっていきます」
「そうね、夫婦二人だと」
夜空も言ってきた。
「それだけね」
「いいよね」
「ええ」
佐京に答えた。
「そう思うわ」
「そうなんだね」
「夫婦が一緒で」
そしてというのだ。
「仲がよかったら」
「最善だよね」
「そうよね」
「俺もそう思うよ」
佐京も応えた。
「お互い大切にして」
「助け合う」
「それで仲がよかったら」
それならというのだ。
「やっぱりね」
「一番よね」
「そう思うよ」
夜空に答えた。
「俺も」
「そうよね」
「うん、だからね」
「だから?」
「さっきお話したあの人は」
「駄目よね」
「相談に乗らない、旅行に行かない」
声をかけられてもというのだ。
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