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西遊記

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第一回 孫悟空生まれるのことその四

 猿は早速身支度を整え筏を作ってでした、猿達に一時の別れを告げてそのうえで海に漕ぎ出ました、その時です。
「不老不死になって戻って来るぞ」
「はい、待っています」
「そうなってきて下さい」
「修行頑張ってきて下さい」
「そうしてくるぞ」
 お互いに手を振り合ってでした。
 一時にお別れをしました、そして南贍部洲に西牛貨洲を十年以上かけて巡りました、そしてようやくです。 
 とある猿にです、神仏や仙人や聖人がいる場所を知っているかと聞きますと。
「ああ、それなら知っています」
「お主知っておるのか」
「はい、霊台方寸山にです」
 その山にというのです。
「凄い人がいますよ」
「それはどんな人だ」
「斜月三星洞という場所にです」
 そこにというのです。
「須菩提祖師という方がおられます」
「それはどんな人だ」
「はい、神仙様です」
「ほう、仙人か」
「その方がおられまして」
 それでというのだ。
「弟子になり修行を受けますと」
「わしも仙人になれるか」
「はい、そして」
「不老長寿を得てな」
「死ななくなります」
「そうなる為に探してきたのだ」
 十年以上もとです、猿は言いました。
「ではな」
「行かれますね」
「そうする」
「では案内します」
 その猿はとても親切に言ってでした。
 そうして洞窟に案内されますと何と玉で飾られた楼閣がありました、そこで案内した猿はこれでと去りまして。
 残った彼は楼閣の向こうにです、大声で言いました。
「誰かいないか?」
「何だ騒がしいな」
「だから誰かおらんか」
「いるから待て」
 すぐに返事がきました、そしてです。
 楼閣の赤い楼門が開いて出て来たのはといいますと。
 子供でした、子供は猿に言いました。
「僕は須菩提祖師様の弟子の仙童だけれど」
「仙人様の弟子か」
「そうだよ」 
 その通りだというのです。
「そう言う君は普通の猿じゃないね」
「見てわかるか」
「だって普通に喋ってるじゃない」
 このことを言うのでした。
「人の言葉をね」
「そういえばそうか」
「それに裸じゃないし」
 見れば孫悟空は赤い服に下穿きを身に着けています、しかも金色の靴まで履いていて実にお洒落な感じです。
「それじゃあね」
「わかるか」
「そうだよ、仙猿じゃないの?」
「実は」
 ここで猿は仙童に自分のことをお話しました、すると仙童はまさにと頷きました。
「うん、明らかに普通の猿じゃないね」
「そうか」
「何百年も生きているし」
「しかし死にたくなくてな」
「仙人になりたいんだね」
「うむ、では仙人様に合わせてくれ」
「こっちだよ」
 先童はまさにと頷いてでした。 
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