ハッピークローバー
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第百六十七話 文化祭最後の日その十六
「自白している」
「それも同然ね」
「完全にな」
「私も気を付けないとね」
「阪神も暴れないチームだしな」
「そうなのよね、乱闘とか少ないのよね」
ただしバッキーの事件等歴史に残るそれはある。
「星野さんの頃でも」
「あの人の中日の監督だった頃はな」
「凄かったのよね」
「何かあるとな」
それこそというのだ。
「あの人が出たしな」
「乱闘も多かったわね」
「若し乱闘に行かないとな」
その選手はというと。
「罰金だったらしいからな」
「ある意味凄いわね」
「冗談抜きに殴ったからな」
星野仙一はというのだ。
「あの頃は普通でもな」
「殴っていたわね」
「もう中村さんなんかな」
正捕手だった彼はというと。
「打たれるとな」
「大体キャッチャーのリードのせいになるから」
「容赦なく殴られていた」
「そうだったらしいわね」
「だからあの人ピッチャーに言ったらしい」
バッテリーを組む相手にだ。
「安心して投げろ、打たれてもな」
「何て言ったの?」
「自分が監督に殴られてやるってな」
「ご自身もわかったいたのね」
「殴られ役だってな」
その様にというのだ。
「そうだったんだ」
「ある意味凄いわね」
「そうしたチームだったからな」
「乱闘も凄かったわね」
「けれど阪神はな」
自分達が応援するチームはというのだ。
「別にな」
「乱闘しないし」
「暴走しないからな」
「普通に強いだけね」
「十連覇してな」
そうしてというのだ、尚かつて阪神に勝ち忌まわしき九連覇を達成した巨人は今や二十五年連続最下位である。
「そうだしな」
「暴走しないことが一番ね」
「平常心だな」
「それね」
「それが大事だ、平常心や理性がない正義なんてな」
「悪ね」
「逆にな」
正義とは正反対のというのだ。
「正しいことをしているという自分の顔を見ろ」
「鏡で」
「きっとだ」
「醜い顔になっているわね」
「餓鬼みたいなな」
「そこまでね」
「鬼ならまだいい」
越智は強い声で言った。
「何とかなる、しかしな」
「それがよね」
「餓鬼になるとな」
「どうにもならないのね」
「そうだ、醜く浅ましくてな」
そうであってというのだ。
「それでだ」
「どうにもならないのね」
「そうだ、だからな」
「理性や平常心は大事ね」
「法律やルールもな」
「そうしたものがないと」
「人はどうにもならない」
こう富美子に言うのだった。
「正義でもな」
「そういうことね」
「ああ、そしてだ」
それでというのだ。
「俺自身気を付ける」
「私もね」
「そうはなりたくないからな」
絶対にと言ってだった。
越智は富美子と共に文化祭が本格的にはじまるまでのデートを楽しんだ。そして二人で語って学び合ったのだった。
第百六十七話 完
2025・1・23
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