ハッピークローバー
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第百六十七話 文化祭最後の日その十二
「れっきとしたな」
「法律があって」
「その下で動いてくれるからな」
「警察は法律から出ないわね」
「自衛隊もな」
こちらの組織もというのだ。
「間違っても法律がないとだ」
「動けないわね」
「だからいい、しかしそんな連中はな」
「自分達の勝手な正義感で動くから」
「駄目だ、法律のコントロールも利かないしな」
「だから駄目ね」
「マフィアの話聞いてるな」
越智は富美子に嫌悪に満ちた顔を見せて問うた。
「そっちもイタリアの子に知り合いいるだろ」
「中一の時いたわ、クラスメイトでね」
富美子はそのクラスメイトのことから話した。
「シチリアの子よ」
「まさにマフィアの島だな」
「何でもフランスへの抵抗がはじまりなのは嘘で」
伝説で言われるそれはというのだ。
「密輸組織とか自警団がね」
「なったな」
「神戸もヤクザ屋さんが自警団やってたし」
その終戦直後にというのだ。
「それでね」
「あちらでもな」
「自警団もなったそうだし」
「あとは山賊を警察に仕立てたりな」
当時シチリアを統治していたナポリ王国がそうさせたのだ、これがプッチーニの歌劇トスカの悪役スカルピアのルーツとも言われている。
「そうだったんだ」
「そうみたいね」
「それで自警団はな」
「今お話している通りにね」
「簡単にな」
「法律の下になくて」
「独善性に陥るからな」
だからだというのだ。
「マフィアになる」
「そうよね」
「だから自警団は駄目だ」
「警察の方がいいわね」
「法律の下にあるからな」
「法律って大事よね」
「法律が嫌ならな」
そうした考えならというのだ。
「もうそれは北朝鮮だ」
「ルール全然守らないからね、あそこ」
「やりたい放題だな」
「ならず者国家よね」
「ああなる」
法律を守らないならというのだ。
「そうなるからな」
「法律は守らないとね」
「そしてその法律に基づかずな」
そうであってというのだ。
「独善になるとな」
「本当にマフィアよね」
「そうなる」
「そうよね」
「法律も国家も政府もないならな」
「無政府主義よね」
「それで完全に自由な社会になるか」
どうかというのだった。
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