| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百八十九話 カリブ海の海賊その二

「どうにもならへんさかいな」
「それではです」
「ああ、今からな」
「オーナーのところに案内しますね」
「頼むわ」
 こう話してだった。
 インファンテは船員に港を出てすぐの白い立派な宮殿にさえ見えるホテルに案内された、彼はそのホテルを見て言った。
「こんなホテルやってて海賊もやってるんか」
「海賊といっても賊やモンスター退治で」
「別にええ人は襲わへんか」
「この辺りは悪い海賊も多く」
「カリブ海はか」
「それに獣やモンスターも多いので」
 そうした環境でというのだ。
「ハバナも軍隊だけでは間に合わず」
「海賊が自警団みたいにやってるか」
「それがわし等です」
「そやねんな」
「それで今はです」
 船員はさらに話した。
「オーナーがお歳で」
「船長を引退するか」
「それで次の船長を探してましたが」
「そこで自分が来たか」
「はい」
 そうだというのだ。
「まさに」
「そういうことやな」
「それで、です」
 船員はさらに言った。
「これからです」
「オーナーに紹介してくれるか」
「そうさせてもらいます」
「ほな頼むわ」 
 インファンテもそれならと応えてだった。
 豪奢なホテルのロビーに入ってだった、そこの受け付けで話しオーナーの部屋に案内された、そこにはバーバリアンのスーツ姿の老人がいてだった。
 船員がその老人、オーナーに事情を話すとだ、オーナーはインファンテに強い声と顔で言ってきた。
「お願い出来ますか」
「船長の仕事やな」
「勿論報酬はお支払いしますし」
 それにというのだ。
「衣食住もです」
「保障してくれるか」
「ロイヤルスイートが二つありますので」
「そのうちの一つにかいな」
「如何でしょうか」
「そこまでしてくれんでええわ」
 笑ってだ、インファンテはオーナーに返事をした。
「別にな」
「そうですか」
「ホテルやなくても充分や」
 こう言うのだった。
「住むところがあったらな」
「それで、ですか」
「そや、大体海に出たら船の中やろ」
「衣食住は」
「そやったらな」
「丘に上がればですね」
「もう空いている部屋、安い宿のな」 
 そうしたというのだ。
「若しくはアパートでな」
「いいのですか」
「全くな」
「インファンテ様は質素ですね」
「いや、起きた世界やと寮で暮らしてて」
 それでというのだ。
「祖国に帰ったら質素やで」
「お暮しは」
「キューバの一般市民のな」
 そうしたというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧