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金木犀の許嫁

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第六十二話 お見合い前にその二

「いつもじゃないので」
「知らないこともあって」
「それを教えてくれるので」
 だからだというのだ。
「とてもです」
「有り難いんだ、僕の案内」
「はい、何かを知っていることをお話して下さい」
「この資料館でだね」
「お願いします」
「そこまで言ってくれるなら」
 それならとだ、豊も応えた。
「お話させてもらうね」
「お願いします」
「それじゃあね」
 微笑んで応えてだった。
 豊は白華に彼がこの資料館において知っていることを全て話して紹介した。それが終わってからだった。
 白華は資料館を出たところでだ、豊に満面の笑顔で礼を述べた。
「凄くよかったです」
「僕の案内がだね」
「はい、有り難うございます」
「そこまで言ってもらえたら」
 豊は顔を赤くさせて応えた。
「僕も嬉しいよ」
「そうですか」
「だからね」 
 それでというのです。
「これからも知ってる限りのことをね」
「お話してくれますか」
「そうさせてもらうよ」  
 こう言うのだった。
「是非ね」
「それでは」
「そしてね」
 それにというのだった。
「これからだけれど」
「資料館を見ましたし」
「うちに戻る?」
「お寺にですか」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「お寺のことお話していいかな」
「お寺ですか」
「お見合いして大学卒業したらうちに来てくれるんだよね」
「お嫁さんとして」
「僕と結婚して」 
 豊はこの言葉も顔を赤くさせて言った。
「そうだね」
「はい、そうですね」
「だったらね」
 それならというのだ。
「お寺のこともね」
「知ることですね」
「そうするといいんじゃないかな」
「そうですね」
 少し考えてからだ、白華は答えた。
「私お寺のことは全くです」
「知らないんだ」
「十勇士ではです」
 自分達の先祖ではというのだ。
「三好清海さんと三好伊佐さんがお坊さんでしたが」
「あの人達がだね」
「実は子孫の方々はお坊さんではなくて」
「今もだね」
「お寺のことは」
 どうしてもというのだ。
「知らないです」
「それでなんだ」
「お願いします」
「それじゃあね」
「お寺のこと教えて下さい」
「じゃあうちに帰って」
「今度はお寺のことをですね」
 豊に言った。 
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