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スラム街の下着

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第五章

「それでどうしてよ」
「何がわかるか」
「そう、そしてね」 
 さらに話した。
「彼等はね」
「我が国を無批判に賛美してくれますね」
「それこそ我が国に招待して」 
 そうしてというのだ。
「宣伝だけ見せればね」
「それで鵜呑みにしますね」
「そう、そしてアメリカのスラム街を見せても」
「わからないですね」
「我が国はわかっても」
 人民達をというのだ。
「彼等はね」
「わからないですね」
「途方もない愚者は何もわからないわ」
「何を見てもですね」
「自分に都合のいいものだけを信じて」
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「都合のいい駒になり続けますね」
「日本の知識人には多いのなら」 
 それならというのだ。
「我が国としてはね」
「利用するだけですね」
「彼等は北朝鮮も好きだし」
 アジアの東側の一国であるこの国もというのだ。
「さらにいいわ」
「利用しやすいですね」
「何もわかっていない、わかろうともしない」
「そうした愚者は」
「スラム街を見てもわからないのなら」
 それならというのだ。
「救いがないわ」
「自分も他人もわからない」
「そして騙され続けるなら」
「利用するだけですね」
「貧しくとも」
 コスイスカヤはそれでもと話した。
「自分の祖国ならね」
「愛国心はありますね」
「あるのがね」
 それがというのだ。
「やはりよ」
「当然のことですね」
「常識よ」 
 そうだというのだ。
「本当にね」
「そうですね」
「だから」
 それでというのだ。
「それすらもない様な愚者はね」
「利用するだけですね」
「そうよ、何もわからないで」
「わかろうともせず」
「そして愛国心もない」
「そうした愚者なら」
「我が国としてはそうするだけよ」
 まさにというのだ。
「利用し尽くして」
「使い道がなくなれば捨てる」
「それだけよ、下着の数を見てわかるなら」
 それならというのだ。
「それだけでね」
「ある程度の資質がありますね」
「それでもっと言えば下着の質ね」
 こうも言った。
「それもわかればね」
「尚更よしですね」
「けれどそうしたことがわからないのなら」
「完全な愚者であり」
「利用するだけよ、そして愚者は利用されても」
 それでもというのだ。
「そのことに気付かないわ」
「敬愛され信頼されているとですね」
「尻尾を振ってね」
 コスイスカヤは軽蔑を込めて語った。
「有能さも認めてもらっている」
「そう思いますね」
「犬もわかるわ」
「相手のことが」
「相手が自分をどう思っているか」
「馬鹿にしているならそうとわかりますね」
「犬もね、けれどそこまでの愚者はわからないで」
 そうであってというのだ。
「利用されるだけよ、そして私達はね」
「利用するだけですね」
「そういうことよ」
 部下に落ち着いたそして冷徹な声で語った、コスイスカヤは日本ではそうした知識人や政治家を量していった、だが日本の豊かさも見てこれでは勝てないとも思ったのだった。しかもこの国にはこれといったスラム街もないから尚更だった。


スラム街の下着   完


                    2025・4・26 
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