プールでは飲まない
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第一章
プールでは飲まない
OLの金田香里は酒好きである、旅行に行けばそれこそ朝から晩まで飲んでいる位に好きである。長い黒髪をストレートにセットしていてすっきりした顎と整った黒目がちの二重の目と濃く黒いっ切れ長の眉を持っている、紅の大きな唇に一六八程の背で抜群のスタイルである。
今そのスタイルを白のビキニに包んで旅行先のホテルの屋外プールで安楽椅子に座ってくつろいでいるが。
同僚で一緒に旅行を楽しんでいる吉野順子茶色のショートヘヤであどけない童顔に大きな胸と腰を持つ小柄な彼女が言って来た、彼女は黒ビキニである。
「あんた今は飲まないの」
「飲んでるわよ」
隣の安楽椅子に座る順子に笑顔で答えた。
「オレンジジュースをね」
「お酒じゃないのね」
「お酒は今はいいわ」
座ったままにこりと笑って答えた。
「泳ぐから」
「お酒入って泳いだら」
「危ないからね」
だからだというのだ。
「それでね」
「飲まないのね」
「そう、それで飲むのは」
「泳がない時ね」
「海でもね」
ホテルのすぐ傍はビーチだ、そちらを見て話した。
「飲まないわ」
「お酒は」
「こうした時シャンパンなんてね」
「映画でよくあるわね」
「トロピカルなカクテルとかね」
「付きものよね」
「けれどね」
それでもというのだ。
「実際に飲んだら危ないから」
「飲まないのね」
「泳ぐ時はね」
あくまでというのだ。
「飲むのはね」
「泳がない時ね」
「そう、温泉でもね」
そちらに行く時もというのだ。
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