金木犀の許嫁
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第六十一話 相手が来てその十二
「日本の童話でもでしょ」
「狼悪役じゃないわね」
「それはよ」
「悪役どころか」
「もうね」
それこそというのだ。
「有り難い」
「そうした生きものだったから」
「悪役にするなんて」
「なかったのね」
「そうよ」
そうだったというのだ。
「実際殆どないでしょ」
「童話の悪役って鬼よね」
「鬼かね」
若しくはというのだ。
「狐か狸でしょ」
「化かすわね」
「まあ狐や狸はお笑い入っていて」
「本当に怖いのは鬼ね」
「狼じゃないでしょ」
「確かにね」
「そう、本当に日本ではね」
「狼は悪い生きものじゃなかったのね」
「牧場とかなかったし放牧もしていなかったから」
かつての日本ではだ。
「だから狼はね」
「悪くなくて」
「むしろ畑を荒らす生きものを狩ってくれるから」
「いい生きものね」
「そうだったのよ、むしろ狼がいなくなって」
真昼はさらに話した。
「畑を荒らす生きものが増えて」
「獣害問題になってるわね」
「そうなったからね」
「狼はいてよかったのね」
「そこでドリトル先生が見付けてくれたでしょ」
夜空にある人の名前を出した。
「うちの学園の大学の教授さんのね」
「医学部のね」
「あの人生物学者でもあられて」
「奈良県と和歌山県の境に行って」
「それ発見してくれたから」
だからだというのだ。
「これからは増やしていって」
「日本全土に戻して」
「獣害をなくす様にしたいところね」
「はい、その獣害もありますが」
佐京がまた言ってきた。
「それでもです」
「平和にやっておられて」
「穏やかな人です」
「だから安心してなのね」
「夜空さんを紹介出来ます」
「じゃあその時は宜しくね」
「無事に紹介させてもらいます」
真昼に微笑んで話した、そのうえで今は忍者の資料館を観るのだった、だがそこでの主役は彼等ではなかった。
第六十一話 完
2025・2・8
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