倒産する会社
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第一章
倒産する会社
その会社は所謂ブラックだった、社員達に朝早くからサービスで早朝出勤を命じ産業も同じであり。
社員達は朝早くから夜遅くまで休日も働かされていてだった。
「えっ、給料これだけか」
「やっと正社員になれたんだよ」
高橋道次は大学時代の友人で近くに暮らしている松本雄大に久し振りの休日にたまたま彼に誘われて一緒に行ったファミレスの中で話した。
「本当にな」
「やっとって」
「そうだよ、一年間働いてか」
「それで採用されてのか」
「そうだよ」
黒髪をショートにしている、面長の顔の頬はげっそりとこけている、丸い目は飛び出る感じになっていて一七三程の身体はやつれている。
「その前からずっとな」
「早朝、残業当たり前でか」
「肉体労働もな」
「いつもか」
「重いもの運んでな」
そうしてというのだ。
「掃除だってな、棚卸しなんて閉店してな」
「朝までかけてやってか」
「そのまま開店して仕事だよ」
「しかもフォークリフトや書道の自主研修もか」
「残業の後でやってるよ」
松本にやつれきった顔で話した、前にあるカレーライスを食べる勢いは弱い。
「毎日」
「それで夜遅く帰ってか」
「朝早くに出勤だよ」
「それでこの給料か」
松本は眼鏡をかけた顔で彼の手取りでそれだけと言われた額について述べた、細面で端正な感じの顔である、波がかった薄茶色の髪を真ん中で分け横と後ろは短くしている。一七五位の背で痩せている。
「しかも周りの人達もか」
「ちょっと動きが遅いとな」
「怒るか」
「殴る蹴るは流石にないけれどな」
それでもというのだ。
「昔の体育会系でな」
「パワハラモラハラみたいにか」
「怒って来るよ」
「それでやっとか」
「正社員だよ」
「中々なれないって言われてか」
「やっと採用してもらえたよ」
「すぐにそうなってだけれどな」
松本は高橋に鋭い目になって告げた。
「お前この会社辞めろ」
「辞めないと駄目か」
「それが嫌ならお医者さんに健康診断してもらえ」
「何でだよ」
「いいからな、今すぐにでもな」
やつれきっている高橋に告げた。
「診断受けろ、いいな」
「そんな暇ないよ」
「次の休日でもいいから受けろ」
高橋に言わせなかった、言わせたら駄目だと思い。
「いいな」
「そこまで言うなら」
「ああ、健康は大事だな」
「やっぱりな」
「それじゃあな」
「お前がここで若いから大丈夫とか言うならな」
診断を受けろと言ってもというのだ。
「俺はお前を殴っていたかもな」
「何でだよ」
「何でもあるか、兎に角辞めるか受けろ」
どちらかだというのだ。
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