内臓のドナー
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第二章
「助かるから」
「それで、ですね」
「待とう」
「わかりました」
宮部は確かな声で頷いた、そうしてだった。
二人は実際にドナーを待った、そして順番が来てだった。
すぐに移植手術にかかった、そうしてその患者は助かった。加賀美はその後で宮部に対して言うのだった。
「うちの病院は絶対にね」
「臓器移植についてはですね」
「裏社会のルートとは関わらないで」
「健全なルートですね」
「そちらでね」
「ドナーを用意してもらっていますね」
「本当に気を付けないと」
さもないと、というのだ。
「裏社会とね」
「つながるお話ですから」
「駄目だよ」
「裏ですね」
「病院でもね」
「関わりかねないですね」
「そうだよ、お薬もだけれどね」
こちらもというのだ。
「モルヒネとかね」
「鎮痛の」
「麻薬になるから」
だからだというのだ。
「気を付けないとね」
「駄目ですね」
「そう、本当にね」
実際にというのだ。
「何かと気を付ける」
「裏社会とのことはですね」
「ああしたところと関わると」
「大変ですね」
「持ちつ持たれつじゃないから」
決してというのだ。
「関わったらいけない相手もいるんだ」
「そうですね」
「そしてその最たるものがね」
まさにというのだ。
「裏社会だよ」
「そうですね」
「うちの病院の方針だよ」
「八条病院の」
「うちの病院は全国どころか全世界にあるけれど」
「どの病院もですね」
「病院の規則で決められているから」
だからだというのだ。
「気を付けているよ」
「そうですね」
「若しね」
それこそというのだ。
「そうしたことを行うと」
「裏社会と関りが出来て」
「厄介なことにもなるし」
「人道的にもですね」
「倫理的にもね」
「最悪の事態が生じますね」
「世の中悪人もいて」
そしてとだ、加々美は宮部に話した。
「儲ける為にどんな悪事も行う」
「命を奪うことも」
「そうした悪人もいるから」
「内臓を売りますと心臓等ですと」
「提供した人はどうなるか」
「言うまでもないです、心臓移植もありますね」
まさにその部分のというのだ。
「ですから」
「そうしたことまで考えて」
「悪人の利益にならない様にする」
「それが臓器売買の様なことも減らすので」
「私達はこれからもですね」
「正規のドナーを待ちます」
加賀美の声はぶれなかった、八条病院はそれからも臓器移植については確か倫理観を持っていった。そうして裏社会と関わることなく命を救っていくのだった。
内臓のドナー 完
2025・4・20
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