仕事ができる理由
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
「私咄嗟のこと弱いから」
「そうですか」
「あとね」
「あと?」
「経験のないことも」
このこともというのだ。
「事前に調べても」
「出来ないですか」
「よく見てね」
「藤宮さんのお仕事を」
「本当にね」
まさにというのだ。
「咄嗟のことはね」
「弱いですか」
「そうなの」
自分で言うのだった。
「これがね」
「それはです」
「気付かなかったのね」
「はい」
中村はまさにと答えた。
「全く」
「けれどそうだから」
実際はというのだ。
「自分ではね」
「自覚してますか」
「かなりね」
そうだというのだ。
「それでミスもね」
「されますか?」
「完璧なんてね」
否定する口調だった。
「絶対にね」
「ないですか」
「ないわ」
そうだというのだ。
「私だって人間で」
「人間なら」
「もうね」
それこそというのだ。
「完璧なんて」
「ないですか」
「そうよ」
絶対にというのだ。
「だからね私を完璧とか思わないでね」
「普通の人ですか」
「そうよ」
まさにというのだ。
「只の人間よ」
「以前に経験されていることで」
「しっかり事前に準備をしているだけよ」
「そうですか、ただ」
ここで中村はふと気付いて藤宮に言った。
「誰でも経験して事前の準備を徹底すれば」
「お仕事は出来るわ」
「そうですね、じゃあ私も」
「そうしていくのね」
「そうします」
藤宮に強い声で答えた、そしてだった。
経験のある仕事でも事前の準備をシュミレーションまで徹底した、すると周りからこう言われたのだった。
「中村さんも出来る様になったな」
「藤宮さんみたいに」
「完璧だよ」
「これでエースが二人か」
「頼りになるわ」
「二人共ね」
そう言われて中村は成程と思った、経験と準備は極めて重要だと。そのうえで仕事をしていくのであった。
仕事ができる理由 完
2025・4・19
ページ上へ戻る