だからってなんだよー 私は負けない
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5月の末に、お母さんはお弁当屋さんをオープンしていた。(愛の山 の お弁当・おにぎり)という のぼりを勝手に作っていて、その他に(弁当 \380)(おにぎり \120)というものも・・・。予定通りに弁当20ケ、おにぎり30ケのほかに、お味噌汁を\100で売り出したのだ。お店のお休みを日月にして、週5日の営業で朝10時から3時まで。
オープン当日から、篠田の社長さんに工務店の関田さんとか、昔のお母さんのファンだったという人達が買いに来てくれたそうだ。おそらく、篠田の社長さんがみんなに声をかけてくれたらしい。店の前の国道を通るトラックなんかも停まってくれて、初日は1時過ぎには完売したらしかった。オープン後1週間はお味噌汁を無料でつけていたから、それも好評で、また寄るねと言ってくれたお客様も多かったそうなのだ。機嫌を良くしたお母さんは、明日からおにぎりを40ケにすると言っていた。
お母さんのおにぎりは、程よく堅めに握っていて、中の具材は、おばあちゃんの塩辛い梅干し、椎茸と大根をみじん切りにして甘辛く炊いたもの、鮎の頭取れに鰹節に醤油を足して炊き直したものの3種類で、包装は袋で海苔もくっつかないようにしてあるのだ。だから、取り出したあとも、ご飯が握ったままの堅さで、海苔もパリパリのまま包んで食べられるから、私もおいしいと感じていて気にいっているのだ。
オープン後 1週間は順調で2時には完売しているといった状況らしかったので、私も ほっとしていた。それに、お弁当は日替わりなので、ほぼ毎日 寄ってくれるトラックの人も3人ばかり居るので、常連のお客さんも掴んできているのだ。
「お母さん 順調みたいだね」
「そーなのよ 売り切れの後でも 何人かのお客様が来てくれてね 申し訳なくてー 様子見て 少し 数を増やしていくわー」
「うん でも お母さん 忙しそーだよー 夜もおかずの仕込みで・・・」
「いいの まだ 若いんだからー それに、今 毎日が楽しいのよー」
確かに、お母さんは ますます 見た目が、若くなっているみたいなのだ。私の小さい頃 食堂をやっていた時と、変わらないのじゃぁないかと おそらく、お客さんからも 綺麗ねとか可愛いよーとかチヤホヤされてるんじゃぁないだろうか お母さん目当てで買いに来るお客さんも何人かは居るはずなのだ。だからー 余計に・・・不思議と、若返ってしまって・・・ この人は もしかすると 魔女じゃぁないんだろうか・・・。
幸い、翌週も 売れ残ったからと、夕ご飯の食卓に上がるってことは無かったのだ。夜は、お母さんは次の日の仕込みとかやっていたんだけど、私には手伝わせるということが無かった。
「すぐりは 勉強が第一なのだから、その時間があったら、予習なり復習をやっておきなさい」と、いった調子だったのだ。
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