八条学園騒動記
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第七百九十五話 和歌その七
「そして平和でね」
「千年の平和ですね」
「残っているものも多いから」
「美術館や博物館も」
「目じゃないのよ」
エウロパのものと、というのだ。
「千年の平和でね」
「多くのものが生み出されて」
「保管、保存されているからね」
だからだというのだ。
「もうね」
「ルーブル美術館も大英博物館もめじゃない」
「そうした美術館や博物館がよ」
「日本に幾つもあって」
「連合全体でもね」
「沢山あるんですね」
「そうよ、所詮ね」
部長は馬鹿にしきった口調で言った、ただ馬鹿にするのではなくそうしきった口調で言うのであった。
「あそこはね」
「小国ですね」
「貧乏なね」
「連合と比べて」
「一人当たりの総生産は十五倍よ」
連合とエウロパの一人辺りの総生産を比べるとだ。
「連合はエウロパのね」
「しかも人口は四十倍」
「単純計算で六百倍よ」
「物凄い差ですね」
「だからね」
そうした状況だからだというのだ。
「もうね」
「美術館や博物館も違いますね」
「あっちが誇るものがね」
そうした美術館や博物館はというのだ。
「こっちじゃ大きいという位よ」
「その国が誇るレベルじゃないですね」
「日本の帝都美術館とか帝都博物館なんて」
日本の首都星系にあるものだ、どちらも国立である。
「ルーブルや大英博物館なんてね」
「遥かに凌駕していますね」
「国力もあってね」
「そこまで違いますね」
「そうよ、それでイギリス王家もね」
エウロパではハプスブルク家やブルボン家と並ぶ名門とされている。
「ウィンザー家だったわね」
「はい、あのお家ですね」
「詩集なんて出してないでしょ」
「そうですね」
「それを出すなんてね」
そうしたことを行うことがというのだ。
「本当に雅よ」
「いいものですか」
「もう二千年の伝統がある」
「そこまでのものですか」
「凄いわよ、こんなことして出来る国なんて」
勅撰和歌集を出すことをというのだ。
「ないわよ」
「日本だけですか」
「そしてその和歌をね」
それをというのだ。
「やるからね」
「本格的にですね」
「頑張りましょう」
「わかりました」
「失敗はね」
それはというと。
「もうね」
「恐れない」
「失敗してもいいから」
そうしたスタンスでというのだ。
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