顔が怖いだけ
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第二章
「そうだよな」
「それでなんだ」
「そうだな」
「僕はね」
武藤は微笑んで答えた、そしてだった。
彼は穏やかな学園生活を送っていた、生きもの達には慕われ日頃の活動それに優しく穏やかな性格が周りから見られ。
皆から慕われた、そのうえで。
高校から大学そして就職してからふとした縁で天理教の教会を継いだ、そして四十代になった頃同窓会でサラリーマンになった田所に言われた。
「いい顔してるな」
「怖くない?」
「顔立ちは怖くてもな」
見れば鬼の様な顔はそのままである。
「人相だよ」
「そのことなんだ」
「お前は生き方がいいだろ」
それがというのだ。
「どんな生きものにも草木にも優しくて勿論人にもな」
「今もそう言ってもらってるよ」
「真面目で思いやりがあって」
そうした性格でというのだ。
「日頃の行いもいいからな」
「人相に出るんだ」
「そうだよ、穏やかな優しい相で」
そうした人相でというのだ。
「特に目がな」
「目なんだ」
「優しい目だよ、顔が怖くてもな」
「人相と目なんだ」
「どっちも生き方に出てな」
そうなりというのだ。
「わかるんだ、見てる人は見て慕ってな」
「今も皆よく言ってくれるよ」
「そうだな、顔が怖くてもな」
「生き方だね」
「それだよ、人は」
田所は笑って話した。
「それ次第でな」
「よくなるんだね」
「顔もな、人相と目の光だ」
「生き方が出るんだね、それは言われてきたけれど」
「お前自身が言われてわかったな」
「うん、これからもそう言ってもらう様に」
武藤は田所に優しい笑顔で話した、同窓会が行われている居酒屋の中で。
「生きていくよ」
「そうしろよ」
「絶対にね」
こう話した、そしてだった。
二人でそれぞれの今を話した、聞けば二人共忙しく何かとあるが確かな人生を送っていた。見れば田所の顔もいいものだった。武藤はそれを彼に言うと彼はその顔で微笑んだ。
顔が怖いだけ 完
2025・4・15
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