ハッピークローバー
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第百六十五話 二日目の夜その四
「煙草については」
「お酒はいいけれどね」
「多少ならね」
そう言いつつクラス全員かなり飲んでいる、そして女子の中ではかな恵が一番飲んでいるのは明らかだった。
「いいけれど」
「それがね」
「煙草は本当に身体に悪いことしかないから」
「美味しいのかしら」
「美味しくないんじゃないの?」
かな恵はこう返した。
「実は」
「そうなの」
「吸ったことないけれどね」
それでもというのだ。
「けれどね」
「まずいでしょうね」
「一華ちゃんも思うわよね」
「ええ、本当に何がいいのか」
「わからないわね」
「間違いなく身体に悪いし」
煙草はというのだ。
「お金もかかるし」
「煙草代も馬鹿にならないっていうわね」
「それで何で吸うのか」
「わからないわね」
「本当にね」
「ヒトラーって煙草吸わなかったのよね」
富美子はこのことを話した、菜食主義者で酒を飲まなかったが特に煙草は嫌いで総統官邸では全館禁煙だったという。
「それで周りから見てね」
「物凄い目立ったみたいね」
「そうみたいね」
かな恵にビールを飲みつつ応えた。
「あの人は」
「会議でもね」
この時もというのだ。
「ヒトラーは煙草吸わなくて」
「しかもあっちの軍議とかワイン出るけれど」
「飲みもので」
「そうだったけれど」
「ヒトラーってお酒も飲まなかったし」
「そのことも目立ったのよね」
「そうらしいわね、ヒトラーって大悪人だけれど」
かな恵もそうした認識である。
「私生活はね」
「真面目でね」
「女の人にも清潔で」
「お酒飲まなくて」
「煙草も吸わなくて」
そうであってというのだ。
「物凄く目立ったらしいわね」
「そうみたいね、まあ色々悪いことした人だけれど」
富美子はそれでもとだ、かな恵に話した。
「煙草吸わなかったことはいいことかしら」
「あの人個人のことだけれどね」
「お酒も飲まないでね」
「そうだったことはね」
「菜食主義者で女の人にも清潔で」
「別に意地悪でも横暴でもなかったっていうし」
「偏見は強かったけれど」
人種的なそれはだ、これがナチスの特徴だと今も言われている。
「それでもね」
「個人としては悪い人じゃなかったっていうわね」
「これがね」
「まああれでしょ」
留奈が言ってきた。
「その人それぞれでしょ」
「ヒトラーにしても?」
「そう、お酒や煙草をしなかったこともね」
「菜食主義で」
「生活は質素だったのよね」
「贅沢とは無縁で」
「アフリカなんてね」
この学園にはアフリカから来ている人も多いので留奈も知っていた。
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