世界の礎
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第十二話 生贄ではなくその八
「中にはです」
「質が劣った者もいるな」
「はい」
そうだと答えた。
「これが」
「それが選挙だ」
義青はリチャードに落ち着いた声で述べた。
「いい者もいればだ」
「そうでない者もいる」
「選挙で選ばれるとな」
そうであると、というのだ。
「どうしてもだ」
「玉石混合になりますか」
「民のそれぞれの望みにまた民のレベルに応じてだ」
「それぞれの議員が選ばれ」
「中にはな」
どうしてもという口調で話した。
「質の悪い者もいる、それがだ」
「選挙であり議員ですね」
「そうだ、また当選する議員もいればな」
「落選する者もいますね」
「そうもなる、これは民任せでな」
「民の質がよくなってもらうことですね」
「そうなる様に教育を充実させていくが」
しかしというのだ。
「それでもな」
「愚か者はいます」
「そうだ、世の中賢者もいればな」
「愚者もいますね」
「選挙は自分と同じレベルの者に投票する」
「賢者は賢者に投票し」
「愚者は愚者に投票する」
そうするというのだ。
「そうしたものだ」
「左様ですね」
「だからだ」
そうであるからだというのだ。
「議会は玉石混交となる」
「どうしてもですね」
「清廉な議員もいればな」
「汚職ばかりの議員もいますね」
「人格も様々だ」
「どうしてもそうなるものであり」
「受け入れることだ」
そうなることをというのだ。
「さもないとだ」
「議会と選挙は成り立たない」
「そうだ」
まさにというのだ。
「だからこのままいく、しかし」
「しかしといいますと」
「あまりにも害になる輩は私が除く」
選挙で選ばれた議員の中のというのだ、義青はリチャードに対して厳しい顔でこのことも言うのだった。
「そうした輩はな」
「選挙で選ばれても」
「そうだ、中には騙すことだけ得意でだ」
「当選しても」
「そうしてな」
そのうえでというのだ。
「国を貪る、それこそ売ろうともだ」
「売国奴ですか」
「そうもなるのだ」
「だからあまりにも害になるなら」
「除く、そして出来るだけ教育でな」
「愚者を減らし」
「民の質をよくしてな」
そうしていきというのだ。
「玉石から石を減らすのだ」
「なくならずとも」
「そうする、いいな」
「それでは」
リチャードも頷いた。
「その様に」
「それではな」
こう話してだった。
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