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八条学園騒動記

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第七百九十四話 本物の悪党その十二

「本当に小突いただけで大泣きして」
「仲間を売ったりしないで」
「何でも喋るって言うのよね」
「拷問するぞって言われただけで」
「これはご愛敬で」
 イタリア人のそれはというのだ。
「小悪党じゃないのよ」
「というかエウロパって大悪党でしょ」
 ジュリアはクールに返した。
「むしろ」
「ええ、貴族とかね」
 アロアもまさにと返した。
「もう堂々とした」
「悪よね」
「搾取して収奪して」
「圧政敷いてね」
「やりたい放題で」
「特権が普通だと思ってる」
「そうした連中よ」
 ジュリアに話した。
「エウロパの連中は」
「そうよね」
「それでね」
 そうであってというのだ。
「小悪党でもなくて」
「エウロパ戦役で捕虜になっても」
 ジュディはその時のことを話した。
「貴族なんかふんぞり返ってね」
「捕虜になってね」
「尋問受けても」
 それでもというのだ。
「黙秘権を行使するって言って」
「言わなかったのよね」
「こっちは文明国だから」
 ジュディはこの自負を以て言った。
「拷問なんてね」
「しないわよ」
 アロアは絶対にと言い切った。
「そんなことは」
「そうよね」
「そんなことはね」
 拷問はというのだ。
「むしろよ」
「あっちの十八番よね」
「魔女狩りや異端審問でね」 
 歴史に残るこの二つの忌まわしい出来事は連合においてはエウロパの残虐性と野蛮さの象徴と言われている。
「もうね」
「存分にやったし」
「だからね」
「むしろあっちよね」
「連合は死刑はしても」 
 それでもというのだ。
「拷問はね」
「しないからね」
「絶対にね」 
 それこどというのだ。
「捕虜にもね」
「捕虜は丁重に扱う」
「エウロパ軍でもね」
「貴族でもね」
「エウロパと違うから」 
 逆にというのだ。
「だからね」
「そんなことしないし」
「それで貴族もね」
「ふんぞり返ってたけれど」
「何もしなかったわ」
「戦争終わると戻したし」
「そう、貴族ってね」
 ジュリアも彼等の話をした。 
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