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八条学園騒動記

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第七百九十四話 本物の悪党その十

「自滅するわ」
「仲間割れもしてね」
「そうなるわ」
「それが小悪党の末路ね」
「自分達は気付かないのよ」
 全くという口調で言った。
「自分達のことすらね」
「自分達が小者だって」
「悪知恵が回るだけでね」
「無能だって」
「自分しかない」
「物凄くレベルの低い奴等だって」
「そうだってことがね」
 自分達の器がわかっていないというのだ、そしてアロアはここで真剣な顔でこんなことを言ったのだった。
「自分の器がわかればそれだけで違うし」
「それ言ったらね」
 ジュディはこう返した。
「三国志の劉禅さんはね」
「小さくないわね」
「あの人どうもね」 
 三国志演義では暗愚と言われる彼はというのだ。
「自分をわかっていて」
「それでやっていっていたわね」
「皇帝をね」
「私もそう思うわ」
 アロアは真面目な顔で答えた。
「あの人自分をわかっていたわ」
「そうだったわね」
「大したことはないってね」
「積極的にいい政治を行う」
「そういうタイプじゃないってね」
「そうだったわね、けれど」
 ジュディはそれでもと返した。
「そうしたタイプってわかったうえで」
「やっていったわね」
「政治は孔明さん達に任せて」
「これはっていう人にね」
「それで自分はね」
 皇帝である自分はというのだ。
「印を押す」
「そうしていたわ」
「その代わり皇帝としてね」
「信頼して任せる責任は持っていたわ」
「それで悪口も許さなかったわね」
「ある人が孔明さんの悪口を言ったら」 
 アロアはこの逸話の話をした。
「怒ったのよ」
「孔明さんの悪口は許さないって」
「演戯じゃ邪魔者扱いでも」
 孔明の行動、その戦いに対してだ。
「実際はね」
「邪魔しないで」
「信頼して任せて」
「責任は自分が持つ」
「そうして全面的に擁護して」
 そうしてであったのだ。
「印を押す」
「そうしていたのよね」
「あの人はね」
「印を押すってサインすることだから」 
 ジュリアはそれでと話した。
「それだけで違うわね」
「決裁だからね」
 ジュディはそれでと応えた。
「それでね」
「政治動くわね」
「サインしないとね」
 その時代の中国では印を押すことである、皇帝の仕事として跡継ぎを設けることと同じだけ重要な仕事である。 
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