星河の覇皇
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第八十八部第三章 最後の防衛ラインその二十六
「ティムール軍の陣地深くに侵入し」
「そうしてですね」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「機を見てな」
「魚雷による攻撃を行っていた」
「そうだった」
これがあの奇襲の正体だったというのだ。
「オムダーマン軍はその様にしてだ」
「あの奇襲を成功させましたか」
「シャイターン主席がいない間にな」
「あの御仁は」
「私はこの五日動けなかったと見ている」
タンホイザーはアクアパッツァの白ワインをベースとしたスープを飲みつつ話した、先にサラダとボンゴレのマカロニの後はこれであるのだ。
「そしてだ」
「その間にですか」
「オムダーマン軍は攻め」
そうしてというのだ。
「そこで潜水艦を使ってだ」
「思わぬ方向からの奇襲で」
「ティムール軍に強烈な一撃を与えてな」
「そのうえで勝ってきたのですね」
「そしてだ」
「あそこまで、ですね」
「戦局を進めた」
オムダーマン軍有利にしたというのだ。
「そうしたのだ」
「そういうことですか」
「あの奇襲が何であるか」
「それはですか」
「まだ謎とされているが私にはわかった」
タンホイザーは強い声で答えた。
「あれはまさにだ」
「潜水艦を使い」
「敵中深く入りな」
「潜水艦の隠密性を利用し」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「敵軍の側面や後方に入りな」
「オムダーマン軍が攻めるその時にですね」
「突如魚雷攻撃を仕掛けてな」
そうしてというのだ。
「敵に強烈な一撃を浴びせ」
「敵陣に穴を空けて」
「そこに一気に突入してだ」
「勝利を収めてきましたね」
「またその一撃でな」
思わぬ方向からのそれでというのだ。
「ティムール軍は常に動きを止めた」
「呆然となり」
「それもまた奇襲の効果だ」
「思わぬ攻撃により敵に我を忘れさせる」
「そして攻撃を止めることもな」
これもまたというのだ。
「そうだな」
「一瞬でもですね」
「その一瞬がだ」
まさにそれがとだ、タンホイザーは銀のスプーンでアクアパッツァのスープを飲んだ。スープには鯛だけでなく共に入れている浅利やプチトマトに大蒜そして香草の味や香りも入っていて実に美味い。
「戦場ではだな」
「命取りになりますね」
「一瞬でも我を忘れてはならない」
絶対にというのだ。
「それは鉄則だな」
「戦場に置いての」
「戦場は常に動く」
タンホイザーはこうも言った。
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