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金木犀の許嫁

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第五十九話 母方の祖母その四

「好きです」
「いい街よね」
「そう思います」
 にこりとして述べた。
「私も」
「そうよね」
「その伊賀で暮らしても」
「いいのね」
「はい」
 そうだというのだ。
「私としては」
「白華ちゃんがそう言うなら」
 夜空としてもだ。
「いいと思うわ」
「伊賀に嫁いでもですね」
「お寺の奥さんになってもね」
「それでは。最近ではです」 
 白華はにこりと笑ってこうも言った。
「あちらでも海の幸を食べられますし」
「白華ちゃんシーフード好きだけれど」
「それでもです」
「今はね」
 夜空もすぐに答えた。
「そうよね」
「冷凍技術、輸送技術が発達しまして」
「伊賀は山の中にあるけれど」
「海の幸を食べられます」
「それも普通にね」
「昔はです」
 白華は夜空に話した。
「伊賀ではです」
「海の幸は食べられなかったわね」
「三重県でもです」
「三重県っていっても」
 夜空はそれでもと話した。
「海があるのは伊勢でね」
「伊賀は山奥でして」
「海の幸なんてね」
 それはというのだ。
「食べられなかったわ」
「そうでした」
「それが二十世紀になって」
「そうした技術が発達しまして」
「伊賀でも食べられる様になったわね」
「お刺身もお寿司もです」
「他のお料理もね」
「そうなりましたので」
 だからだというのだ。
「心配ありません」
「今はお寺でも生臭もの食べられるし」
「残さないことです」
 お寺ではとだ、白華は話した。
「それが絶対でして」
「出されたものは食べていいのよね」
「お肉もです」
「今ではね」
「ただ残さないことが絶対なので」
 それでというのだ、この教えは特に禅宗では厳しくどれだけ口に合わずとも残してはいけないのである。
「そこはです」
「守らないといけないわね」
「はい」
 そうだというのだ。
「お寺では」
「そうよね」
「あとです」 
 ここで白華はこうも言った。 
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