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金木犀の許嫁

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第五十九話 母方の祖母その一

               第五十九話  母方の祖母
 真昼と幸雄のことを聞いてだ、白華は笑顔で言った。
「よかったですね、これで皆さん将来が決まりました」
「そうよね」
 そのことを話した夜空は笑顔で応えた。
「私もお姉ちゃんもね」
「はい、一家全員が」
「そうよね、ただね」
「ただ?」
「白華ちゃん今一家全員って言ったわね」
 共にほうじ茶を飲む中で言った。
「ということは」
「はい、私もです」
 白華は何でもないという顔で答えた。
「許嫁がいます」
「そうだったのね」
「伊賀の方に」
「伊賀って」
「昔は敵同士でしたね」
「大坂の陣までね」
「服部半蔵さんとはです」 
 伊賀忍者の棟梁である彼はというのだ。
「幸村公それに十勇士の方々とです」
「まさに宿敵同士だったわね」
「そうでした、ですがそれは江戸時代までのことで」 
 それでというのだ。
「維新からはです」
「もう敵同士じゃなくなったのね」
「はい」
 そうだったというのだ。
「和解しまして」
「それでなのね」
「今では母方のお祖母さんはです」
「伊賀の人だったわね」
「はい、それで私もです」
 白華もというのだ。
「将来はあちらのお家に嫁ぎます」
「そのことが決まってるの」
「先日両親からお話があって今度です」
 夜空にさらに話した。
「あちらでお見合いをします」
「私達みたいに」
「はい、そして」
 そのうえでというのだ。
「そのお見合いが成功すれば」
「あちらのお家に嫁ぐのね」
「そうなります。そしてお見合いをするということは」
「もうほぼ決まりね」
「私達は古い武家の家なので」
 だからだというのだ。
「もうです」
「お見合いするとなると」
「もう決まりでして」
 ほぼというのだ。
「それで、です」
「白華ちゃんは伊賀に嫁ぐのね」
「あちらのお家に」
「時代が変わったのね」
 夜空はここまで話を聞いてしみじみと思った。
「十勇士と伊賀者がね」
「今では縁戚関係です」
「そうなったわね」
「十勇士同士もそうで」
 それぞれの家がというのだ。
「それで、です」
「伊賀ともなのね」
「甲賀や雑賀の人達ともです」
 彼等ともというのだ。
「今ではです」
「十勇士のお家は親戚関係ね」
「風魔の人達とも」
「風魔って」
 夜空はその忍者達の名前を聞いて思わず目を点にさせて言った。 
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