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メヌエット

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第二章

「どうも」
「そういえばそうね」
「まあ兎に角巨人負けてるならいいわ」
「今年も最下位だね」
「今交流戦だけれど今シーズン五勝よね」
「まだね、だから決まりだよ」
 巨人の最下位はというのだ。
「今日も完封エラーばかり投手陣炎上」
「いい感じね」
「勝負ありだよ」
「わかったわ、それで野球もいいけれど」
 妻はここでこう夫に言った。
「ちょっといい?」
「家事かな」
「もう全部終わったわよ、今気が向いたけれど」
 それでというのだ。
「音楽聴かない?」
「音楽?」
「そう、たまにはね」
 こう夫に言うのだった。
「そうしない?」
「音楽なんだ」
 夫は妻に顔を向けて言った。
「そういえば最近専念して聴いてないよ」
「そうよね、私もね」
「そうだったんだ」
「あちこちで音楽は聴くけれど」
「CDかけたりしてはないね」
「全くね」
「ネットでもね」
 そちらでもというのだ。
「ないよ」
「だから今からね」
「聴こうか」
「何かね」
「それじゃあね。何を聴こうか」
 夫は妻にそれならと問うた。
「それで」
「そうね、これどうかしら」 
 妻はCDを探してたまたま手に取ったそれを夫に見せて言った。
「これね」
「ああ、クラシックだね」
「メヌエットね」
「僕も奥さんも結構クラシック聴いたね」
「結婚した時はね」
「二人共ああした音楽も好きでね」
 クラシックもというのだ。
「聴いたね」
「そうだったわね」
「けれど子供出来てね」
「忙しくなって」
「ずっと聴いてなかったよ」
「けれど今はね」
 妻はそれでもと言った。
「時間あるし」
「聴きましょう」
「それじゃあね」
 妻の言葉に頷いた、そうしてだった。
 実際にCDをセットして聴きはじめた、テレビは切って二人でメヌエットを聴く。優雅でゆったりとした感じの曲が部屋を支配する。
 その曲を聴きつつだ、夫は言った。
「いや、休日ののどかな時に」
「こうした曲を聴くのっていいわね」
「のどかで落ち着いてね」
「雰囲気がいいわ」
「ずっと忘れていたよ」
 こう言うのだった。
 
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