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メヌエット

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第一章

       メヌエット
 休日だった。
 それでサラリーマンの奥安淳二眼鏡をかけてやや色黒で丸い目と黒く短い髪の毛の一七〇位の背の痩せた彼はくつろいでいたが。
 ふとだ、妻の美沙緒長い黒髪に切れ長の大きな長い睫毛の目に細長い眉と艶やかな紅の唇に見事なスタイルの三十代前半の彼女に言った。
「一行どうしたんだ?」
「部活よ」
 妻は夫に中学生の息子のことを話した。
「だからね」
「今はいないか」
「夕方に帰って来るわ」
「そうなんだな、忙しいな」
「そんなものでしょ」 
 妻の声は何でもない感じだった。
「中学生ならね」
「休みの日も部活か」
「塾かね」
「休み返上か」
「まあ塾は平日だけれど」
 夕方にあるというのだ。
「そうよ」
「そういえば僕もそうだったよ」 
 夫はテレビの野球中継を観つつ言った、交流戦でオリックスが全人類普遍の敵巨人に二十点差で勝っている。
「休みの時でも」
「そうでしょ、部活あったでしょ」
「学校に帰ったら塾で」
「忙しかったな、今と同じか」
「そうよ、それで今うちにいるのはね」
「僕達だけか」
「私も今日はオフだしね」
 妻は美容師の仕事をしていてこう言った。
「珍しくね」
「夫婦休みか」
「そうよ、それであなた野球観てるけれど」
「巨人負けてるよ」
「いいことね」
「うん、オリックス勝ってるよ」
 妻に笑顔で話した、彼はオリックスファンなのだ。
「嬉しいね」
「巨人今日も負けてるわね」
「絶賛十五連敗中だよ」 
 そうだというのだ。
「七試合連続二桁得点負けで」
「相変わらず弱いわね。それで阪神は」
「引き分けてるよ、今は」
 阪神ファンの妻に答えた、リビングでそれぞれくつろぎながら話している。
「ロッテと」
「ああ、嫌なチームね」
「ロッテと相性悪いから」
「昔からね」 
 夫にやや嫌そうに話した。
 
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