生國魂神社の銅像
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三章
「阪神今年のオープン戦目立つ方じゃなかったし」
「それでね」
「そちらも観たいしね」
「そうよね、じゃあ帰ろう」
瞳は二人に言った。
「今日うちカツ丼だし」
「うちお刺身と野菜炒めよ」
「うちは麻婆豆腐なの」
蓮華も美咲もそれぞれの夕食のメニューを話した、そうした話をしたうえで帰ろうとしたがここでだった。
ふとだ、美咲は目に入った銅像を見て言った。
「今動いたわ」
「あの銅像?」
「そう、あの銅像ね」
境内にある帽子を被りマントを羽織った男性のそれを見つつ言った。
「今動いたわ」
「あれ織田作さんの象じゃない」
瞳はその銅像について話した。
「織田作之助さんのね」
「夫婦善哉のね」
蓮華は今度は彼の代表作を出した。
「この辺りで生まれたしね、あの人」
「この神社にも縁が深くて」
美咲も言ってきた。
「それで銅像建てられたのよね」
「そうよね、この神社作品によく出てたそうだし」
「そう、結構出てるの」
美咲はその通りだと答えた。
「私織田作さんの作品結構読んでるけれど」
「私夫婦善哉だけ読んだわ」
「私はそれと世相」
瞳と蓮華はそれぞれが読んだ作品の話をした。
「二作読んだわ」
「図書館で読んだのよね、私もだけれど」
「そう、普通科の図書館で読んだのよ」
「あそこに織田作さんの全集あるしね」
「神社に銅像あるし読んだわね」
「そうそう、代表作だけね」
「私単行本も買って読んだから」
美咲はそうしたというのだ。
「興味持ってね」
「あんた本好きだしね」
「純文学も読むしね」
二人でその美咲に話した。
「織田作さんも読んでるのね」
「そうしてるのね」
「今じゃ文豪の人達を題材にした漫画やアニメもあって」
それでというのだ。
「ゲームもあるしね」
「織田作さんも出てるの」
「そうなの」
「色々な作家さんが出ていて」
「織田作さんもなのね」
「そう思うと織田作さんもメジャーね」
「むしろそうした作品で再注目されたかも」
美咲は二人に考える顔になって話した。
「織田作さんは」
「漫画やゲームに出てなの」
「そう思うとメディアミックスって凄いわね」
「文学もそうなる時代ね」
「刀や歴史上の人物だけでなく」
「そうなの、それで今ね」
二人にあらためて話した。
「織田作さんの銅像が動いたけれど」
「まさか」
瞳は美咲にその銅像を見つつ話した。
「幽霊の正体って」
「織田作さんの銅像かしら」
「動いたから」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「見間違えたのかしら」
「そうなのね、幽霊じゃなかったのね」
「若しそうだとしたら」
「そうなのかしら。けれどそもそも本当に動いたの?」
蓮華は美咲に尋ねた。
ページ上へ戻る