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夢幻水滸伝

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第三百八十四話 穏やかな少女その十三

「もうな」
「全力で、ですね」
「戦ってな」 
 そうしてというのだ。
「勝つんや」
「戦うならですね」
「戦は出来る限り避けるもんやが」
「戦うとなると」
「全力でな」
「戦って勝つことですね」
「勝たなあかん場合はな」
 ここでセスペデスはこう言った。
「そや」
「勝たなあかん場合は」
「戦は政の中にあるやろ」
 チェチーリアに考える顔になって話した。
「そやろ」
「はい、確かに」
 チェチーリアも確かにと頷いた。
「そうですね」
「そやからな」
 だからだというのだ。
「政の状況に応じてな」
「負けてもええ時がありますか」
「引き分けでもな」
「そうですか」
「そこはそれぞれや、勝つにしてもな」
 その場合もというのだ。
「相手を完全に叩きのめすか限定的でええ場合もあるわ」
「ほんまそれぞれですね」
「プロイセンはオーストリアとの戦では勝った」 
 普墺戦争である。
「そやけど領土に入らへんでな」
「きりのいいところで終えましたね」
「そして賠償金や領土も然程要求せんかった」
「オーストリアが驚く程僅かやったとか」
「オーストリアの人が言うてるな」
「そうですね」
「ほんまな」 
 そこはというのだ。
「そこで止まってな」
「後でオーストリアと同盟を結びましたね」
「プロイセンの目的はオーストリアをドイツから出すことであって」
 小ドイツ主義に基づいてだ、中欧を支配するオーストリアをドイツから排除しプロイセン中心のドイツ帝国を建国することがプロイセンの目的だったのだ。
「別にや」
「オーストリアを滅ぼすつもりはなかったですね」
「オーストリアとドイツを切り離せばよくて」
 プロイセン、その宰相ビスマルクの戦略ではだ。
「別にな」
「オーストリアを滅ぼすつもりはなく」
「むしろドイツ帝国が建国されれば」
 それからはというのだ。
「むしろや」
「オーストリアは同盟国として必要だった」
「プロイセンからしてみるとな」
「昨日の敵は今日の友ですね」
「その考えでな」
 まさにそれでというのだ。
「あそこまでの勝ちで済ませたんや」
「オーストリアを会戦で破る」
「それだけでな」
「そうした勝ち方もありますね」
「それこそ二次大戦みたいに相手を徹底的に叩きのめす」
「そうした戦争は少ないですね」
「案外な、起きた世界のパラグアイみたいにな」
 セスペデスは残念な顔になって話した。
「とことん戦うなんてな」
「滅多になくて」
「あってはならんわ」
「そうですね」
 チェチーリアも確かにと頷いた。 
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