手作りアクセサリーの値段
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第二章
「売れるからって沢山作るつもりはないわね」
「元々趣味だし焦らない性格だし」
それでとだ、森は桜子に答えた。
「一つ一つ確実にね」
「そうしないとね。ぬいぐるみだってね」
桜子は自分が作っているものの話もした。
「急いで作るものじゃないし」
「一つ一つ確実にだね」
「そう、ものはね」
「確実に作る」
「そうしていかないとね」
「本当にね。じゃあこれからも」
「うん、働きながら」
そのことは忘れないでとだ、森は桜子に答えた。
「そうしてね」
「作ってね」
「売っていくよ」
「私もそうするわ、手作りならね」
「焦らず急がずコツコツと」
「売れても。そうしていきましょう」
こう言ってだった。
二人は今は桜子が作ったジャーマンポテトと海草の味噌汁に菊菜のひたしを食べた、そしてそれからもだった。
二人はそれぞれアクセサリーとぬいぐるみを作ってネットで売っていった、お互いへのプレゼントもしたが。
自分達のペースを守り作っていった、その結果質が落ちず安定した価格で売れた。そして売れたお金で。
「基本貯金して」
「時々食べるもので奮発してね」
「それでいいね」
「ええ、将来は結婚してね」
「家を建てて」
「それで子育てもあるし」
「お金は貯金しよう」
「そうしていきましょう」
こう話してお金も堅実だった、それでだった。
二人は結婚して家庭を持ってからも大過なく暮らすことができた、そうして幸せに暮らせた。だがそんな中で。
「高校時代からスターだったのに」
「プロに注目されて入ってね」
ある元プロ野球選手を見て話した。
「活躍してスター選手になって」
「CMも出て年俸も凄くて」
「何十億も稼いだのに」
「そのお金が何処行ったとか言って」
「挙句番長って言われて得意になっていて」
「変なトレーニングして外見もヤクザ屋さんみたいになって」
「挙句警察の厄介になって」
その転落を見て話した。
「折角お金稼いでもこうだと」
「仕事しても」
「これじゃあ駄目だよ」
「本当にね」
夫婦で家の中で息子のおしめを替えつつ話した、テレビで報道しているその転落人生を目にしつつそうしたのだった。
手作りアクセサリーの値段 完
2025・3・24
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