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寿司のデザート

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第一章

                寿司のデザート
 高校時代クラスメイトだった高野親信、長方形の顔で引き締まった顔立ちに太い眉を持つスポーツ刈りで長身で引き締まった体格の彼が実家の寿司屋に来てだった、鶴田佳樹一七〇位の背で面長で大人しい顔立ちに黒髪を短くしている痩せた彼は言った。
「元気みたいだね」
「ああ、お陰様でな」 
 スーツ姿の彼は鶴田に笑って返した。
「大学出てからこうして今サラリーマンやってるんだよ」
「僕は高校出て専門学校行って」
「料理のだな」
「それでこうして働いてるよ」
「寿司職人さんだな」
「腕はまだまだだけれどな」
「いやいや、立派なものだよ」
 高野は謙遜する鶴田に笑って返した。
「寿司職人なんてな。それにこのお店評判いいんだよ」
「それで食いに来たんだな」
「ははは、俺にそんな金ないよ」
 高野の返事はあっけらかんとしたものだった、笑い声さえ出ている。
「これがな」
「そうなんだ」
「ああ、若いサラリーマンが自分の金でそうそうまともな寿司屋に入られないだろ」
「寿司も高いしな」 
 鶴田もそれはわかっていた。
「寿司屋だけにわかるよ」
「ましてここ四条だしな」
「京都でもいい場所だから余計にだろ」
「そうだよな、だからな」
「余計にだよな」
「早く一人でこうした店に入られる様になりたいぜ」
 高野は笑って話した。
「俺もな、今回は接待の予約に来たんだ」
「電話じゃなくてわざわざ来てくれたんだな」
「ああ、それで時間とメニューはな」
 その接待の話をした、それで最後に彼は鶴田に言った。
「外国の人でデザートも欲しいな」
「時々そうした注文あるよ」 
 鶴田は冷静に述べた。
「これが」
「外国の人には欠かせないよな」
「欧州とかアメリカだとね」
「今度の接待の人イタリアの人なんだよ」
「イタリアなんだ」
「それで寿司の最後は」
「デザートだね」
 高野に言った。
「それを出せばいいね」
「ああ、いいの頼めるか?酒は日本を楽しみたいから日本酒でいくしな」
「デザートもこっちで考えて出せばいいね」
「俺も本格的なお寿司屋さんでデザートってぴんとこないけれどな」
「実際本来は縁がないね」
「そこは頼むな、仕事だからな」
「こうしたこと今は結構あるし」
「ああ、経験あるんだな」
「親父と話して出すよ」
「頼むな」
 高野はこう言ってだった。
 この時はそれで帰った、そして後日太った一八〇以上ある顔の下半分が髭で覆われた黒髪と黒い目のスーツの人と上司と思われる年配の男性と三人で来てだ。 
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