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前足がなくても幸せに

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第二章

 そしてだ、庭に出るとだ。
「ココ」
「コケコ」
「コケッ」
「ココッ」
「コココ」
「ココケ」
「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックスともな」
 庭にいる六羽の鶏達とも仲がいい、兎角だ。
 猫は仲よくしていた、そして。
 後ろ足、二本足だけで立って歩いて駆けてだった。活発に動いていた。夫はそんな彼女を見て妻に話した。
「ダックは皆と仲がいいな」
「ええ、元気で明るくてね」
「足は二本しかなくてもな」
 それでもというのだ。
「いつもああだな」
「そうよね」
「ハンデがあっても」
 それでもというのだった。
「けれどな」
「それでもね」
「全力で頑張っているな」
「そうして生きているわ」
「あんないい娘いないよ」 
 皆と遊ぶダック、彼女を見て話した。
「本当に」
「そうよね」
 妻も確かな声と顔で頷いた。
「私もそう思うわ」
「普通足がないと」
 そうであるならというのだ。
「人間だって大変で」
「めげかねないわ」
「けれどダックは違う」
「そんなことに負けないでね」
「必死に頑張って生きていてな」
「皆と仲よくしてね」
「明るく遊んでいるわ」
「そうだよ、こんないい娘いないよ」
 夫は心から言った。
「他には」
「全くよね、じゃあ私達もね」
「うん、ダックを大切にしていこう」
「家族としてね」
「そうしていきましょう」
「一緒にね」 
 こう話してそうしてだった。
 二人はダックそれに他の家族を呼んで彼等にご飯をあげた、するとダックは後ろ足だけで駆けてきてだった。
 自分のご飯を食べた、元気よく食べるその姿はとても明るいもので夫婦も他の家族もその彼女を見て自然と笑顔になったのだった。


前足がなくても幸せに   完


                    2025・3・23 
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