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葱は絶対に駄目

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第二章

「やっぱりな」
「だってふわりの食べものじゃないから」
 すき焼きはというのだ。
「それでよ」
「すき焼き食わないな」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「興味もないわ」
「そうだよな」
「味が濃いし」 
 すき焼きはというのだ。
「お砂糖とお醤油かなり使うから」
「犬にはきついな」
「お肉でもね、特にね」 
 母はさらに話した。
「お葱はね」
「いいか、葱は絶対に食わせるな」
 父も言ってきた。
「犬にはな」
「中毒になるよな」
「犬が食うとな」  
 息子に話した。
「そうなるからな」
「だからだな」
「絶対にだ」 
「食わしたら駄目だな」
「葱はな」
「すき焼き自体が駄目でな」
「そしてな」
 その中でもというのだ。
「特にな」
「そうしないとな」
「ああ、犬にはな」
 何といってもというのだ。
「犬の食うものをな」
「食わせないとな」
「さもないとな」
 そうでなければというのだ。
「ふわりが身体壊すぞ」
「そうなるよな」
「すき焼きなんて絶対に駄目だ」
 父は言い切った。
「醤油と砂糖をかなり使ってな」
「葱も入ってるしな」
「それこそ毒みたいなものだ」
「だからか」
 洋介はここでケージの中にいるふわりを見て言った。
「こっちを見向きもしないんだな」
「俺達がすき焼きを楽しんでもな」
「自分が食うものじゃないってわかってるからか」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「だからな」
「それで全くだな」
「こっちを見なくてな」
 それでというのだ。
「自分のご飯を食うんだ」
「ドッグフードをか」
「そうだ、ふわりは賢いからな」 
 そうした犬だからだというのだ。
「もうな」
「わかってるんだな」
「ああ、そしてな」
 それでというのだ。
「俺達はすき焼き食ってだ」
「ふわりはドッグフードか」
「それぞれ食べられて美味いものを食えばいいんだ」
「そういうことだな」
「そうだ、じゃあ俺達はすき焼き食うぞ」
「わかったよ、ふわりはドッグフード食うな」
「ワン」
 ふわりは洋介の言葉にケージの中から顔を向けた、そうしてそうするわという風に鳴いて応えた、そしてだった。
 実際に洋介が夕食後自分の皿に入れてくれたドッグフードを食べた、尻尾を振ってとても美味しそうに。


葱は絶対に駄目   完


                   2025・3・23 
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