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知将の学歴

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第二章

「鳥みたいな顔をした」
「ああ、あの人な」
「東大法学部出てるんだぞ」
「一番凄いところだろ」
「それも主席でな」
「それでああか」
「ああなんだよ」
 実際にというのだ。
「これがな」
「そうなんだな」
「そりゃ学校の勉強出来たらいいさ」 
 そうであるならというのだ。
「知識があるってことだからな」
「いいんだな」
「学生の本分は勉強でな」
 そうであってというのだ。
「そこで頑張ってるってことだからな」
「いいんだな」
「けれど頭のいい悪いは知識を得てどう使うかでな」
 そうであってというのだ。
「回転のよさ、考え方だよ」
「そういうものなんだな」
「あの党首は学校の勉強は凄く出来てもな」
「知識を使ってないんだな」
「まともなのを得てないしな」  
 その知識をというのだ。
「頭の回転も考え方もな」
「駄目か」
「それでああなんだよ」
「そうなんだな」
「岡田監督は野球の知識をちゃんと得ていてな」
「ちゃんと使ってか」
「頭の回転も考え方もな」
 そういったものもというのだ。
「よくてな」
「それでか」
「名将なんだよ」
「阪神を日本一にしたんだな」
「色々言われていてもな」
 酷評もあるというのだ。
「実績はあるからな」
「日本一だな」
「日本一はそうはなれるか」
 それこそというのだ。
「やっぱりそれなりのものがないとな」
「無理だな」
「堀内はあの戦力で駄目だったんだ」
「それどころか三位にもなれなかったな」
「ああ、エースは馬鹿では務まらないって言ってな」
「駄目過ぎたな、あいつ」
「あいつは偉そうなこと言うだけだ」 
 それが堀内の本質だというのだ。
「偉そうで暴力も振るってな」
「暴力って最低だな」
「巨人のエースってだけでいつもああでな」
「嫌われてるよな」
「しかも野球理論もなくてな」  
 その実はというのだ。
「巨人しか見ていなくて育成だってな」
「ずっとコーチやっててもか」
「実績なくてな」 
 そうしてというのだ。
「あの様だ」
「それはあいつの学歴の問題じゃないな」
「そうだよ、あいつが若し東大卒でもな」
「ああなんだな」
「そうだ、知将も学歴じゃない」 
 それこそというのだ。
「その人がどうかだ」
「そういうことだな」
「そうだ、人は学歴じゃなくてな」
「その人自体を見ることだな」
「監督もな、いいな」
「よくわかったよ」
 息子は父に心から答えた、そしてだった。
 阪神を観ていった、そのうえで岡田の後任の藤川給餌に期待した。彼の学歴ではなく彼自身を観つつ。


知将の学歴   完


                   2025・3・22 
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