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その筋の人と思ったら

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第二章

「やっぱりカープの人達だったわね」
「一見ヤクザ屋さんかと思ったけれど」
「そうだったわね」
「野球選手特にカープの人達はああしたファッションだぞ」
 ここでまた先生が言ってきた。
「だから間違えるなよ」
「いや、本当にそうとしか見えないです」
「それに広島っていいますと」
「あそこヤクザ屋さん有名ですし」
「ついつい」
「それでも違うからな」
 先生はそこは断った。
「カタギの人達だからな」
「そうとしか見えなくても」
「プロ野球選手ですね」
「そうなんですね」
「そうだよ」
 先生は奈央達に笑って話した、奈央の高校時代の思い出の一つだ。
 奈央は就職して結婚して家庭を築き今では孫もいる、その孫娘の里香自分そっくりの外見の彼女が今大谷翔平の画像を見て言っていた。
「この人ファッションも似合ってるのよね」
「そうね、野球選手のファッションも変わったわね」 
 小学生の孫娘に微笑んで応えた。
「お祖母ちゃんが高校生の頃はヤクザ屋さんみたいだったのにね」
「そうだったの」
「もうとんでもなく怖くて」
 あの時のカープの選手達を思い出しつつ話した。
「見たら危ない感じだったのよ」
「そうだったの」
「あの頃と比べたらね」
「野球選手のファッションも変わったのね」
「そうなったわ」
「そうなのね」
「ええ、今白いスーツで派手な柄のシャツなんてないでしょ」
 そんなファッションはというのだ。
「白エナメルでグラサンも」
「野球選手だとね」
「変わったわ、昔はそうだったのよ」
「信じられないわ」
「信じられなくてもそうだったのよ」
 かつてはというのだ。
「あの時は本当に怖かったわ」
「そうだったのね」
「星野さんとはまた違った意味でね」
「星野さんね。生き返ってまた中日の監督になって欲しいわ」 
 里香はその名前を聞いて心から思った。
「今中日大変だし」
「そうよね。今年こそ頑張って欲しいわね」
「巨人に天誅与えてね」
 全世界に仇なす邪悪の権化に対してというのだ。
「そうして欲しいわね」
「そうよね、ファッションが変わったことはいいけれど」
「強さはあの頃になって欲しいわね」
「また優勝して欲しいわ」 
 こうしたことを祖母と孫で話した、そしてファッションから野球自体の話を二人でしていくのだった。


その筋の人と思ったら   完


                     2025・3・21 
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