彼女がいないとわかった途端
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第二章
「私主任さんタイプなのよ」
「そうなの」
「しかも性格もよくて面倒見もいいでしょ」
「気配りも出来る人ね」
「思いやりもあってね」
「だから彼女さんがいないなら」
「そうだってわかったら」
その時はというのだ。
「もうね」
「アタックしようって思ったのね」
「わかった瞬間にね」
後輩達に聞いて確認を取った時にというのだ。
「そうだったのよ」
「そうなのね」
「それでね」
「本当にアタックして」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「これからは二人でよ」
「暮らしていくのね」
「何を隠そう私学生時代料理部で」
ここで聡美は胸を張って言った。
「今もいつもお家で作ってるのよ」
「あら、そうだったの」
「それでね」
そうであってというのだ。
「これからはね」
「あんたが作るの」
「いえ、あの人も好きだから」
「ああ、それで毎日お弁当だったし」
「毎晩お料理作ってね」
そうしてというのだ。
「朝ご飯作る位だし」
「そうよ、だからね」
そうした事情があってというのだ。
「晩ご飯お弁当は毎日一緒にね」
「作ることになったの」
「そうなったのよ、時間があればね」
その時はというのだ。
「そうして一方が忙しいと」
「もう一方が作るのね」
「そうお話して決まったわ」
「成程ね」
「あの人これまでは忙しくても簡単なものでも作っていたそうだけれど」
それでもというのだ。
「これからはね」
「そうなるのね」
「そう、そして」
そうしてというのだ。
「二人でよ」
「仲よくなのね」
「暮らしてね」
「お弁当も作っていくのね」
「ご飯全単体をね」
「そうするのね、それじゃあ」
友人は笑顔で言った。
「幸せになってね」
「二人でね」
「そうなってね」
「なるわ」
これが聡美の返事だった。
「絶対に」
「そうならないとね」
「ええ、折角一緒になれたから」
「それならね」
「ずっとね」
まさにというのだ。
「幸せにならないとね」
「そうよ、それじゃあね」
「二人でずっと幸せになるわ」
満面の笑顔で答えた、そしてだった。
聡美は太田と結婚して幸せな家庭を築いた、やがて子供も何人ももうけて彼等も含めてさらに幸せになった。料理はその中で最も重要なものになっていたことは言うまでもなかった。
彼女がいないとわかった途端 完
2025・3・20
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