ハッピークローバー
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第百六十二話 メイド喫茶に入ってその十
「驚かれて歴史に残るのよ」
「そうなんですね」
「日本の大地震なんか」
「イギリスだとですか」
「世界が崩壊する様な」
そこまでのというのだ。
「災害よ」
「世界って」
「いえ、本当にね」
先生は富美子に真顔で話した。
「イギリスは地震が少ないから」
「日本の大地震は、ですか」
「世界が崩壊する様な」
そこまでのというのだ。
「大災厄よ」
「そうなんですね」
「神戸であった地震もね」
阪神大震災もというのだ、一九九五年一月に起こったこの地震は多くの犠牲者を出し神戸の街を廃墟にした。
「そうだし関東大震災なんて」
「あの大地震ですか」
「想像を絶するわ」
そこまでのものだというのだ。
「そこに台風もあるでしょ」
「台風もイギリスではないですか」
「日本みたいにはね」
「そうなんですね」
「台風もね」
この災害もというのだ。
「日本は多いでしょ」
「毎年何個か来ますね」
越智は真顔で答えた。
「日本に」
「そんな毎年何個も来るなんて」
「ないですか」
「イギリスではね、しかも大きいし」
このこともあってというのだ。
「本当にね」
「ないですか」
「それも怖いことよ」
台風のこともというのだ。
「本当にね」
「そうですか」
「当然火山の噴火なんて」
「ないですね」
「浅間山の噴火なんて」
江戸時代中期にあったそれはというのだ。
「読んでいて信じられなかったわ」
「先生としては」
「まるでポンペイよ」
ローマ帝国で起こった火山の噴火である。
「あんなことはね」
「あれであの街なくなりましたね」
「そうなったわ」
そのポンペイの街がだ。
「一瞬で溶岩に飲み込まれた人もいたし」
「浅間山もそうですね」
「ああした災害もあるから」
だからだというのだ。
「日本は怖いわ」
「災害と種類と数の多さですか」
「その強さもね」
「日本はそこが問題ですね」
「かなりね」
越智に真剣な顔で話した。
「確かにとても過ごしやすくていい国だけれど」
「いいことばかりじゃない」
「困ったこともあるのよ」
「完璧じゃないですね」
「どうしてもね」
実際にというのだ。
「そうよ」
「そうですか」
「そして国だけじゃなくて」
「完璧でないのは」
「どんな場所もものも人もね」
それこそというのだ。
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