ボーイッシュな美女

　　　　　　　　　　　　　　　　ボーイッシュな美女
　街を歩いていてだ、大学生の吉川由美梨はあることに気付いた。
「皆私のこと見てる？」
「見てるわね」　
　一緒に歩いている妹の高校生の志保が応えた。
「絶対に」
「どうしてよ」
「いや、どうしてって」
　志保は姉にすぐに言った。
「お姉ちゃん見てるとね」
「私をなの」
「恰好いいから」
「恰好いいって」
　そう言われてだ、由美梨は眉を曇らせて応えた。
「違うでしょ」
「だってお姉ちゃん背が高くて」
　一七〇ある姉の横で言った。
「すらりとしていて黒髪ショートで」
「ボブにしていて」
「それできりっとした顔立ちで」
　そうであってというのだ。
「スラックスにコート、革靴でね」
「服もそうで」
「イケメンに見えるから」
「イケメンって男の子よね」
「そうよ」
　まさにというのだ。
「そうなるわ」
「イケメンに見られるってね」
「その外見とファッションでね」
「それでなのね」
「そう、だからね」　
　それでというのだ。
「見られるのよ」
「そうだったの、じゃあね」
　それならとだ、由美梨は志保に言った。
「あんたはキュートね」
「私はそうなの」
「可愛い服着て」
　ピンクハウス系だ、水色とピンクでフリルやリボンがあちこちにある。ロングスカートはくるぶしの部分まで及んでいる。
「茶色にした髪の毛ウェーブかけて長くして」
「似合う？」
「リボンまでね」　
　頭に付けているそれまでというのだ。
「顔も色白で小さくて可愛い顔立ちで」
「そうなのね」
「小柄でスタイルもいいしね」
「美少女かしら」
「そうよ、だったら」
　そんな妹を見て言った。