インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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我らの味方は狂戦士
「だ、大丈夫ですか!?」
真耶は懸命に呼びかける。
すると、包帯男はポケットから小瓶を取り出して口に入れた。
「あ、ああ。これでなんとか戦える」
そう言って立ち上がると同時に服を引っ張られた。その犯人は本音だった。
「ちょ~としゃがんでくれないかな~」
包帯男は言われてしゃがむと、本音は包帯を取り出した。
「え?」
「嘘っ!?」
「やっぱり○○○○だ~」
どうやらこいつは最初からわかっていたらしい。
「て、テメェ! 裏切りやがったな!」
「裏切りもくそも、最初からテメェらの仲間になってすらないっての。………まぁいいや。来いよ雑魚共! 一人残らず潰してやらァ!!」
そして―――一般では見られない戦いが始まった。
その戦いの光景を見た真耶と1年1組の生徒たちは口を揃えてこう言った。これからはちゃんと相手を見てモノを言おうと。世の中には逆らっていい人と悪い人がいるんだと。
■■■
その施設の外では既に戦闘が始まっていた。大量の野獣対大量の無人機の戦いが。
その戦いは―――どう見ても野獣たちが勝っていた。
「な、なんなのよ、こいつらは………」
1組のバスが戻ってこないことをおかしいと思い、心配になった凰鈴音は自分が今目の前で起きていることに実感がわかなかった。
―――ISが、高が野獣如きに負けている
ただその事実だけを突きつけられていた。
そしてその野獣は、今もこちらを見ていた。どうやらさっきまで襲っていた奴らはもういないらしい。
するとどうしたことか、さっきまでそこにいた野獣―――もとい犬たちが合体していき、オルトロスとなった。
『女、お前、IS学園所属か?』
急に話しかけられ、鈴音は首を縦に振る。
『……名は?』
「ふぁ、凰鈴音よ」
『……なるほど。お前が偉そうな割には大したことない凰鈴音か』
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! それは誰から聞いたのよ!」
『ふん。貧乳の割には元気があるからタイプじゃないと聞いていたが、もう少し女を磨いたらどうだ?』
「よ、余計なお世話よ! っていうかアンタこそ誰よ! どうしてISを倒せるのよ!」
『教える義理はない。が、仲間を助けたければ少し待て。………いいぞ。ジャマーは消された。展開しても大丈夫だ』
それだけを伝えると、オルトロスは消えた。
「い、いったい、この世界で何が起こっているって言うのよ!!」
そう叫んでから中に入ると、そこには―――
「私、もう彼に何されてもいい気がしてきた………」
「私も。何あの強さ。もっと鍛えたらISなんて壊せるんじゃないの?」
震えながら暴走しそうになっている女子たちがバスの中で談笑していた。
しかしそれだけじゃない。周りは所々凹んでおり、周りには死んではいないが犯人たちと思われる男たちが倒れていた。
「あ、りんりん!」
「りんりん言うな! で、なんなの?」
尋常ではないほど慌てている本音を見て突っ込みながら鈴音は応対する。
「○○○○が重傷だから、いそいで救急車~!!」
「………ええッ!?」
衝撃の事実に、鈴音は驚いた。
■■■
その頃、一夏とシヴァはそこから移動していた。
「って、何で俺が刀を持っているんだ?」
「あなた、自分がどれだけ重要かわかってないでしょ? それに、あなたのお姉さんはその先よ」
「わかった」
一夏は走り出し、ある部屋に飛び込む。
「そこまでだ!」
そしてヒーローみたいに入ったが、そこには専用機持ちと千冬を囲む男たちがいた。
「………嘘」
「一夏、後ろだ!」
千冬の声に咄嗟に反応して間一髪で避ける一夏。
「まさか、俺たちが逃げていたのはとっくに知っていたのか………」
「その通りだ、ガキンチョ」
男たちの集団の中から白衣の男が現れた。
「良かったなガキンチョ。この女たちが無茶苦茶にされるのを最初から見られるぜ」
「―――!! 止めろ! 今すぐ止めろ!!」
一夏が慌てて止めに入るが、
―――ドスッ
「―――ガッ」
一人の男が一夏を蹴り飛ばして妨害した。
(……やっぱり……俺には………)
一夏が諦めかけた時、
―――カン、カン……プシュー
一つの煙玉が入れられ、周りが白くなる。
「―――こっちです」
「え? ちょ―――」
何者かが一夏を持ち上げてその場から逃げる。
「な、何やっているんですか、山田先生。って、IS!? それよりも俺は―――」
「いいから! 大人しくしなさい!」
「は、はい―――じゃないですって! 降ろしてくだ―――」
―――バチッ
何かが光ったかと思うと、一夏はそこで意識を失った。
「ごめんね、織斑君。こうしろって言われてるの……」
真耶はそう言いながら狭い基地の中を疾走した。
■■■
「……お前……何で……」
千冬は驚いて言葉も出ないというほどか細い声でそれだけ出した。
煙幕の中にいきなり現れた男に、さすがにその場にいた人間は驚きを隠せないようだ。……ただ、一人を除いて。
その男は一歩前に出て、現れた男の紹介を始める。
「紹介しよう、ブリュンヒルデ。彼が今しがた君に話したあの篠ノ之束と同等のずの―――」
―――ドゴッ
現れた男が―――白衣の男の頭を蹴った。
「―――俺があのクズと同等だと?」
その男は倒れている白衣の男を踏み付ける。
それを見た仲間の男たちが踏んでいる男に襲いかかるが、
「雑魚が。相手を選んで攻撃しろよ」
全員を――――一瞬で倒した。
「な、何をするんだCo.1! 俺たちを攻撃する指示は出してないぞ!」
「は? そんな名前は勝手にお前らが付けた名前だろうが。何ほざいてんだよジジイ」
ちなみにだが、白衣の男は30代前半である。
「いい加減にしろ! そして今すぐ我らの指揮下に入れ!」
「は? 頭大丈夫か? それとも今すぐ死ぬ? ってか何でもう負けた相手の下に付かないといけないんだよ」
「き、貴様!!」
男はそれを無視して無造作に置かれていた服を取り、囚われている彼女らに渡し、手錠を外す。
「いい加減にしろ! 高が女の分際でいきがっている奴らに加担すると言うのか!」
「どうやら、今自分の格がどれくらいか―――本当に知らないようだな」
その男は拳を握って――――白衣の男の顔の横にある壁を殴ってへこませた。
「あ、ああ………」
男はそれを一瞥してからその場を去った。
(………あ、もうこれ無理かも……)
そして―――その場で倒れた。
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