夢幻水滸伝
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第三百八十四話 穏やかな少女その四
「これからですが」
「どないするか」
「何かお考えは」
「特にないです」
親父にいつもの表情で答えた。
「聞かれますと」
「そうなのですか」
「あーしこうした性格なんで」
「何か積極的にはですか」
「考えへんです、平和にのんびり暮らせたら」
それならというのだ。
「充分です」
「野心はおありではないですか」
「はい、全然」
まさにという返事だった。
「そういうのはです」
「ないですか」
「大帝国築くとか大金持ちになるとか」
「そうしたおつもりはないですか」
「ほんまに平和で穏やかに暮らせたら」
それならというのだ。
「それで、です」
「いいのですね」
「そうです」
「そうですか、ですが働くことは」
「好きな方です」
実際チェチーリアは怠けることはしない、働くことはする。
「自分から動くことはないですが」
「それでもですね」
「働いて糧を得て」
そうしてというのだ。
「学校でもお勉強して」
「確かに勤勉な方ですね」
「働いて平和に穏やかに生きる」
「そうされたいですね」
「これからも」
「働くことに抵抗がないなら」
親父はそれならとあらためて話した。
「それならです」
「勢力を旗揚げして」
「その棟梁となられ」
そうしてというのだ。
「この世界に為に働かれては」
「そうですね」
チェチーリアは親父の提案を受けて言った。
「平和はあーしのことだけやないですね」
「一人の平和を望まれていますか」
「いえ、やっぱり世界が平和であってこそ」
それでというのだ。
「ええです」
「そうですね」
「世界平和は理想でも」
この世の全てが平和であることなぞ有り得ないというのだ、何処かで戦が起こるし災害もある。この世界では巨人も突然出て来る。
「そうはいきませんが」
「それでもですね」
「世界平和を目指して」
そうしてというのだ。
「努力すれば」
「それで、ですね」
「よおなります」
「そうですね」
「少なくともあーしの出来る範囲で全力を尽くして」
そうしてというのだ。
「そのうえで、です」
「その範囲を平和にしたいですね」
「はい」
親父に答えた。
「そうですね」
「そう思われるなら」
「旗揚げしてですね」
「このサンタヘナを拠点として」
そうしてというのだ。
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