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鳴る足

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第一章

                鳴る足
 平松祥吾地元のショッピングモールの裏方で働いている彼は歩くと普通の靴ではおかしな音が鳴る。それでだ。 
 何かと注目される、これが安全靴やスニーカーだと鳴らないので仕事や弓のランニング中は問題ないがそうした靴ではだ。
 兎に角目立つ、背は高くすらりとしていて細面で中性的な顔立ちで黒髪は奇麗にセットされてある。それでだ。
 普通に歩かないといいと言われる、だが本人は気にしていなかった。
「普段は安全靴かスニーカーだしね」
「普通の靴は履かないからいいの」
「いいよ、それにすぐ音が鳴って」
 妹で両親と一緒に暮らしているOLの佳代に話した、佳代は赤が買った短いショートヘアでボーイッシュな顔立ちとスタイルを持っている。背は一七〇ある。
「僕を不審者とは思わないね」
「まあ音立てて近寄る不審者はリアルじゃいないわね」
「そうだよね」
「普通音もなくだから」
「それでだよ」
 不審者に思われることもないからだというのだ。
「僕はね」
「構わないのね」
「そう、もうね」
 全くというのだ。
「このままでね」
「何でいつも歩くとね」
 妹は兄に言った。
「二条城歩いた時みたいな音が鳴るのか不思議がってるわ」
「大学を出てからね」
「変よ、けれど仕事やランニングの時は出なくて」
「不審者に思われないしね」
「いいのね」
「どうしてもっていうのならいつもどっちか履けば」
 安全靴かスニーカーをというのだ。
「いいしね」
「本当に構わないのね」
「全くね」
 こう言ってだった。
 平松はそのまま暮らし佳代はそんな兄を見ているだけだった、彼は歩くと足が鳴る以外は特におかしなことはなく仕事も真面目でプライベートもそうであり。 
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