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樹海での訓練

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第二章

「訓練じゃなくてな」
「調査とか探検ですね」
「そっちの仕事だからな」
 それでというのだ。
「くれぐれもな」
「訓練だとですね」
「訓練に徹しろ」
「樹海の中だから尚更ですね」
「危険な場所、危険なものを扱うならな」
 そうした訓練ならというのだ。
「尚更だ」
「気を付けていくことですね」
「そうだ、いいな」
「わかりました」
 二階堂は大門の命令に頷いてだった。 
 その通りにした、そしてだった。
 彼も他の隊員達も命令に従い入るなと言われている場所には入らなかった、そうして訓練を行っていき。
 撤収時間になると実際に撤収し基地に戻った、樹海を出るとトラックに乗り物資も入れて基地に向かったが。
 基地に戻るとだ、二階堂は大門に言った。
「野営は基本ですけれど」
「俺達陸自はな」
「はい、ですが」
「樹海だとだな」
「他の場所とは違いますね」
「ああした場所だからな」
「樹海に入るなんて思いませんでしたが」
 それでもというのだ。
「入りますと」
「何かと緊張したな」
「そうでした」
「そうした場所もあるんだ」
「世の中には」
「日本じゃ少ないがな、しかしな」
「あるにはあって」
 そしてというのだ。
「訓練でもな」
「入るとですね」
「普段より気を付けてな」
「命令に従う」
「さもないとだ」
「迷ったり危ない目に遭って」
「自分だけのことじゃなくてな」
 それでというのだ。
「部隊全体にも迷惑がかかるからな」
「気を付けることですね」
「そうだ、これは何でもだしな」
「自衛隊は全体で動く組織なので」
「気を付けていけよ」
「そうしていきます」
 二階堂は強い声で答えた。
「自衛官ですから」
「他の仕事は兎も角な」
「自衛隊はそうした組織ですね」
「そうだ、頭にも身体にも叩き込んでいくんだぞ」
「そうしていきます」
 二階堂は実際に頭に入れて身体にもそうしていくことを誓った、そして自衛官として生きていった。やがて下士官になり彼も部下にこうしたことを言った。


樹海での訓練   完


                    2025・3・17 
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